こういう場合、幹線道路に照準できる敵部隊をすべて撃破する程度の攻撃が必要になります。こんなことをするわけですから、占領後すぐに戦闘を止めることができないのは当然なのです。グルジア側も撤退が進行中なのを確認しているはずですが、情報が不十分で結論を出すに至っていないと考えられます。
ところが、こうした動きを国内メディアは侵攻作戦が継続されていると表現しがちです。もちろん、これらが侵攻作戦の一部なのは確かですが、侵攻側は侵攻そのものはすでに完了し、次の段階に入っていると考えます。だから、この辺を読み違えると、何が起きているのかを誤認することになります。ところで、退却が行われているのは南オセチアだけのようです。アブハジアがどうなっているのかが気になります。それから、休戦協定の詳しい内容も早く知りたいところです。
話は変わりますが、ポーランドがアメリカが提案する迎撃ミサイルの受け入れを認めたと報じられています。毎日新聞はポーランド側が譲歩したように書き、ニューヨークタイムスを引用した産経新聞はアメリカが譲歩したと書いています。アメリカとポーランドの微妙な考えの違いも知っておきたいのですが、状況は判然としません。MD構想や対ロシア政策への影響も気になりますが、問題はこれにポーランド議会の承認が必要なことです。これはチェコのレーダー施設についても同じことが言えます。ポーランドのトゥスク政権は支持率が高いのですが、チェコのトポラーネク首相は危うい状況です。また、支持率と議会の反応は政府とはまた別です。
また、迎撃ミサイルがまだ開発途上であることにも注意が必要です。アメリカは近いうちに、ポーランドに約束したペイトリオット部隊と防衛協力を実現する必要があります。迎撃ミサイルの実戦配備は実現するとしても、かなり先の話です。やはり、この合意はロシアを牽制する政治的な意味合いが強いと見るべきかも知れません。なにより、正反対の情報が流れている点が、ちょっと引っかかっています。