林芳正・新防衛大臣が誕生

2008.8.2
同日10:40 修正



 昨日の内閣改造で、留任が確実視されていた石破茂氏が固辞するというハプニングがありました。あれほど防衛大臣になることを望んでいた人が、自分から辞めるとは予想していませんでした。

 報道によると、イージス艦が漁船と衝突した事故の責任をとるためのようです。しかし、これは意味のない辞め方で、遺族の心にも残らないやり方です。操艦ミスまで防衛大臣が責任を取っていたら、それこそ有事の際に、何の対応も出来ないことになります。過去の事例を見ても、戦争において軍隊はミスを連発して犠牲を出すものです。それだけ危険なものを扱っているという意識があるなら、イージス艦事故の原因解明を、自分の指揮によって徹底的に行うと考えるべきです。「被害者に申し訳ないから辞めます」では、あまりにもナイーブで、自衛隊の指揮官たる資質を欠いているとしか言いようがありません。

 新しい防衛大臣は林芳正(ハヤシ・ヨシマサ)氏です。ホームページを拝見してみましたが、ビデオメッセージの「米国同時多発テロについて」(第25回)を聞くと、杓子定規なテロ対策を述べているだけで、あまり期待できないというのが第一印象です。2004年に外交防衛委員会の委員長に就任していることが、起用の理由なのかも知れません。ほとんど情報発信をしない人もいるのに比べれば、ビデオメッセージの連載を続けているだけでも立派なのですが、その中に防衛問題に関する話題がほとんど見当たらないのが気になります。これまで何度も指摘しているように、防衛問題に関して自民党は人材を育成してきませんでした。

 大臣就任は初めてですから、ご本人は奮闘されることと思いますが、目の前にある問題だけでも、処理すべき物はたくさんあります。防衛官僚と自衛官の双方に不祥事が続出しており、いずれも重大問題です。その他に、長期的な問題として対テロ戦争という問題もあります。いずれについても、新大臣の下で、あまり大きな変化は期待できそうにありません。

 林氏には「希望のシナリオ」という著書があるので、下にご紹介しておきます。


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