2011年イラク撤退:実は交渉不成立

2008.8.27



 2011年までに、すべての軍をイラクから撤退させるという、イラクとアメリカ間の合意は、実は署名に至っていないとmilitary.comが報じました。

 トニー・フラット大統領報道官(Tony Fratto)は撤退の期間について意見の相違を認めました。イラクの治安状況がすべてを決めると述べ、署名に至っていないことを認めました。イラクのヌーリー・アル=マリキ首相(Nouri al-Maliki)は、米兵と契約業者の基地外での免責特権が未解決のままだと述べています。コンドリーザ・ライス国務長官(Condoleezza Rice)のイラク訪問は不発に終わったわけです。

 国内メディアは、もう少し、状況を確認してから記事を書いて欲しいものです。この出来事に関する、22日の各紙の見出しは次のようになっています。

<イラク>「米軍11年末までの撤退」で合意(毎日)

イラク駐留米軍、「2011年末撤退完了」で合意(産経)

イラクの米戦闘部隊、11年末までに撤退…両国合意と米報道(読売)

 26日になって、毎日新聞は次のように、修正しました。

<イラク>首相が米軍撤退合意と言明 米は否定

 結局、イラク政府の先走りだったという落ちです。先日の、イランロケット打ち上げ報道もそうですが、公式発表をそのまま報じて済ませるのでは、報道の名に恥じるというものです。合意に達したと書くのなら、両者がそう言う時を待ってからにして欲しいものです。


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