military.comによると、中国新疆ウイグル自治区カシュガルで、警察の詰め所が攻撃され、警察官32人が死傷しました。この事件について、北京オリンピックでのテロ事件の心配が強まっています。しかし、もっと気になるのは、このテロ組織がアルカイダとリンクしていることです。
中国の西端はイスラム圏に接しています。カシュガルはパキスタン、アフガニスタンとキルギスタンの国境線から80マイルほどの位置にあります。ウイグル族は60年前に共産化した中国の支配下になり、以後、不満を抱え続けてきました。この地域の国の人びとは、もともと多くがイスラム教徒でした。アルカイダが浸透する条件が揃っています。
先月21日に起きたバス連続爆破事件ではウイグル分離独立派「トルキスタン・イスラム党」が犯行声明を出しました。本当に彼らが犯人かどうかは中国当局も決めかねていますが、声明ビデオはアルカイダのスタイルに則っており、彼らがアルカイダ系組織であることを窺わせます。彼らはオリンピックに関連する最も重要なところを狙うと予告しています。
アフガンとパキスタンだけでなく、近接するイスラム圏にアルカイダが拡散しています。これは「テロの拡散」に他なりません。民族の壁を越えてテロが広がるのは珍しいことですが、アルカイダはそれを実現してきました。このことは世界的に認識されている問題ではありますが、国連からして対応への努力は十分ではありません。誰も本当の問題を論じようとしないからです。公的な場所では、テロの拡散防止はテロの封じ込めと同意語です。しかし、そんなことは現実的にできそうにない段階にまで来ています。そのことを認めれば、テロとの闘いに敗北を認めるようなものです。国連は民族独立運動を正当な行為として認めていますが、現在のテロリズムは民族独立運動に起因しています。これを封じ込めるのは、国連の自己否定につながります。こうした矛盾が露呈するため、本当の問題点を誰も口にしないのです。こうして国際社会が手をこまねいている間に、テロは拡散し、最後には彼らと妥協するしかなくなるというのが、最もありそうな未来像なのです。