IED攻撃でも従軍バッジを授与

2008.8.6



 army-times.comによれば、米陸軍が従軍バッジに関する規則の変更を決定しました。IED(簡易爆弾)攻撃を戦闘歩兵バッジ(Combat Infantryman Badge)を授与する条件に加えるというのです。

 CIBは敵と近距離で、直接照準射撃で敵を撃破する地上戦に参加した歩兵と特殊部隊の兵士に与えられます。不朽の自由作戦では23,192個、イラクの自由作戦では95,745個、合計118,937個の戦闘歩兵バッジが与えられてきました。この授与資格に、IEDの攻撃を加えるのが、新しい規則の骨子です。簡単に言うと、IED攻撃を銃器のような直接照準射撃兵器による攻撃とみなすのです。7月22日に有効となった新しい規則は、2001年9月18日まで遡って有効と定められました。

 さらに、2005年に陸軍は戦闘行動バッジ(Combat Action Badge)を創設していました。これは戦闘地域で戦火を体験しながら、CIBや戦闘衛生兵バッジ(Combat Medical Badge)を与えられる資格を持たない者に与えられます。つまり、砲兵隊のような、本来は後方支援を行う部隊の隊員が対象です。今回の改正で、戦闘航空部隊に派遣された医療要員もCAB授与の対象に含まれるようになりました。CABは自動的に与えられるのではなく、名誉負傷章(Purple Heart)が授与された場合は与えられません。

戦闘歩兵バッジ
戦闘衛生兵バッジ
戦闘行動バッジ

 CIBとCMBの授与を決定する責任者は、旅団戦闘団指揮官など、大佐クラスへ、CABの授与を決定する者は連隊長クラスの指揮官と戦域医療センターの指揮官に権限が下げられました。

 こうした従軍バッジ類は、特定の戦闘に参加したことを記念して与えられ、軍歴を誰の目にも明らかにする役目も持っています。だから、不公平感を与えないために2001年9月18日という、同時多発テロの間近まで遡って授与させることにしたわけです。

 米陸軍の軍人は今回の改正を歓迎するでしょう。しかし、軍事を観察する者としては、ここから対テロ戦の実態を見て取るべきです。それは後方支援部隊の要員が、最前線に立たされているという事実です。そして、IEDによる攻撃が通常の攻撃と同じに評価されるほど激化しているという事実です。先に述べたように、こうした表彰は公平さが維持されないと意味がありません。今回、規則が改正されたということは、そうしないと公正さが保てなくなっているという証拠です。今回の規則改正は、対テロ戦を象徴するものだと言えます。これはむしろ、対テロ戦の悪化を証拠立てるものです。

 この他、本日は、ブッシュ政権がイラク戦争を正当化するのためにサダム・フセインとアルカイダの間につながりがあることを示す偽物の手紙を情報機関に作らせたという記事。イギリス軍がマハディ軍と秘密協定を結んでいたという記事が目を惹きます。


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