中央日報が12日、東倉里(トンチャンリ)に建設中の新しいロケット発射施設の位置は、核施設がある寧辺(ニョンビョン)に近いと報じました。記事は以下のとおりです。
北朝鮮が建設中の新しいミサイル発射基地が位置する鉄山郡は、北朝鮮の核施設が密集している寧辺(ニョンビョン)の核施設との距離がわずか70キロメートルにすぎない。寧辺の核施設で開発された核弾頭をミサイルの本体に搭載し、発射実験を行うのにそれほど遠くない位置だ。現在運営中の舞水端里の基地は寧辺から300キロ以上離れている。寧辺で開発された核弾頭または模型の核弾頭をミサイルに搭載するために移動するには容易ではない距離だった。
核施設とロケット基地の位置関係はほとんど関係がなく、この記事はポイントを外しています。核弾頭の重量は最大でも1トン程度です。トラックで運べる重量ですから、たとえ300kmの距離でも運搬は難しくありません。爆発しない限り、核爆弾は安全なものです。たとえ、トラックが横転しても、核爆弾が暴発するようなことはありません。
先に指摘したように、新しいロケット基地は極軌道衛星を打ち上げるのに使われると考えられます。北朝鮮の地理条件では、ロケットを南に向けて打ち上げる場合、舞水端里からだと、まだ低高度の内に韓国の上空を通過します。万一、ロケットが墜落した場合を考えると、極軌道衛星をここから打ち上げることはできないのです。東倉里から真南にロケットを発射した場合、北朝鮮西端部をかすめるようなコースになりますが、多少西向きのコースを使うことで回避するか、これくらいの危険は織り込み済みなのかも知れません。この通過コース付近にある離島に施設を建設すれば危険は完全に回避できます。なぜ北朝鮮がそうしなかったのかは分かりませんが、予算の問題や韓国に近すぎて偵察されやすいことなどが理由にあげられそうです。いずれにしても、北朝鮮のように隣国との問題を抱える国にとって、隣国から文句を言われずにロケット開発をするためには、2つのロケット基地が必要だったということです。日本のロケット基地が一カ所で済むのは、東にも南にも打ち上げられる位置を選んで施設を建設しているからです。8年前から建設していたことからも、静止衛星を打ち上げた後、極軌道衛星も打ち上げたいと考えている北朝鮮の意向が見て取れます。Google Earthで種子島宇宙センターを確認してみてください。北朝鮮の施設がいかに貧弱かが分かります。
また、中央日報は次のようにも書いています。
また、イランのテヘラン郊外にできたロケット実験施設と似た規模のロケットモーターのテスト用施設もあるという。
これは似ているというよりは同じ物と見るべきです。北朝鮮とイランがロケット開発で協力し合っているのは、以前から知られていました。この点について、マスコミはあまり関心を持っていないようです。