military.comによれば、8月22日に90人が死亡したアフガニスタンのアジザバッド村(Azizabad)における誤爆事件について、米軍は犠牲者の大半はタリバン戦士であったという報告書を公表しました。
報告書によれば、死者は民間人が7人、タリバン戦士が30〜35人でした。タリバンは村人に米軍やアフガン政府に誤った情報を提供するように強要しています。また、アフガン政府と多国籍軍は犠牲者1人あたり2,000ドルを支払っています。こうした事情が虚偽の報告がなされる理由だと、米軍は主張します。
どうも、分からない話です。民間人が多数死んだ報告は、州の委員などアフガン高官により確認されたと言われていました。こうした人たちまで、タリバンの脅迫を恐れて虚偽の報告をしたというのでしょうか。犠牲者は死亡した指導者の追悼会に集まった人たちだという具体的な情報、犠牲者の中に米軍の協力者がおり、タリバンとは考えられないという情報も否定できるというのでしょうか。アフガン情報部が撮影したという映像は未だに公開されておらず、犠牲者数の具体的な証拠はありません。非常に気になるのは、米軍が言う犠牲者の数は、交戦中の敵の動きを観察した結果と、戦闘直後の現場での観察に基づいているということです。家屋が多数倒壊したことを考えると、米兵がそれらを掘り起こして、下敷きになった遺体の数まで数えたわけではないことが理解されます。そうすると、死者は米軍が言うより多いことは十分に考えられます。
村からは、武器、爆発物、諜報用の資材、基地の通行証が発見されたと言います。しかし、ゲリラが民間人の村に武器などを隠すのは珍しいことではなく、ベトナム戦争でも実例があります。調査官は、戦闘中に撮影されたビデオを見たり、戦闘前と後の航空写真を比較し、埋葬場所の変化も調べたと言います。皮肉な味方をすれば、爆撃が徹底的で、遺体のほとんどがバラバラになった場合、まともな埋葬もできないので、墓地に大きな変化は起こりません。米軍が遺体がタリバン戦士だと判断したのは、武器を持っていたことが理由でしょう。こうした証拠は偽装しやすい点も考えなければなりません。
情報の食い違いが大きすぎ、さらに調査が行われないと、真相は分かりそうにありません。しかし、依然として、死者は米軍の報告よりも多いという感触があります。