3個戦闘旅団がカンダハル州に増員

2009.1.3



 military.comによれば、カンダハル州に20,000人以上の米兵が増派されます。カンダハル州はこれまで、イギリス、カナダ、オランダの担当地域でしたが、ここに米軍が配備されることになります。

 米軍の配備先はヴァルダク州とローガル州のほかに、カンダハル州が選ばれたことになります。つまり、タリバンの本拠地を直接担当します。現在、カンダハル飛行場(kmzファイル)に滑走路と建物が建設中です。州内には2つの前哨基地も造られています。指揮官はジョン・ニコルソン陸軍准将(Brig. Gen. John Nicholson)です。陸軍工兵隊は南部の基地建設で最高13億ドルを費やします。配備されるのは、3個戦闘旅団と航空旅団、偵察・情報部隊、工兵、憲兵、特殊部隊です。それらの内、1個旅団は春までに、別の1個旅団は夏までに、最後の1個旅団は秋までに到着する予定です。部隊はカンダハル市、カブールとカンダハルをつなぐ幹線道路1号線(Google Earthの「道路」のレイヤをオンにすると「A01」として表示される道路)、カンダハル州に隣接し、ケシの生産地であるヘルマンド州に配備されるだろうと、ニコルソン准将は述べています。南部に配備されているイギリス軍の兵数は8,500人、カナダ軍は2,500人、オランダ軍は2,500人です。

 ヴァルダク州とローガル州に配備される部隊がカンダハル州も担当するのではなく、カンダハル州だけに3個旅団を配備する計画とのことです。これなら兵数はまずまずのレベルです。20,000人以上と書かれていますが、5個旅団分で30,000人規模なのが本当でしょう。この記事を読むかぎり、カンダハル州に配備される米軍の任務は治安維持と大麻対策です。タリバンを戦闘で弱体化させることと、麻薬による資金源を断つのが主目的と考えられます。

 これで米軍とタリバンの戦闘がさらに激化することになります。今年は東部と南部の両方の戦線を注意してみていく必要があります。かねてから心配されている補給路の問題ですが、パキスタン軍が輸送路を一時的に閉鎖しているとの報道もあります。米軍は現在の処、補給不足は起きていないとしていますが、今後どうなるかが気になります。成果を強調するため、米軍は積極的に情報を出しそうです。これで目的を達するかどうかは難しく、米軍には強運が必要と考えられます。


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