様々なメディアがイスラエルのガザ侵攻を報じていて、多少、情報の混乱が起きています。今のところ、どちらが優勢なのかは明確ではありません。6日くらいまでには、戦闘がイスラエルの意図通りに進んでいるかどうかが判明するでしょう。
空爆開始以降の作戦「キャストレッド作戦(Operation Cast Lead)」の詳細は、globalsecurity.orgにまとまったレポートが掲載されており、非常に重宝です。「キャストレッド」は鉛の鋳物のことで、鉛で造られた独楽を指しています。この記事には、ガザを占領することが戦いの目的ではないというイスラエル軍の見解が示されています。これはガザ全土への侵攻はないと読み取るべきではありません。イスラエル軍は南部に至るまでのほとんどのガザ領域を一度は占領する必要があります。その後、ハマスの武器をすべて破壊した後は長期駐留はしないという意味です。ここから、イスラエルは任務完了後は国際停戦監視団がガザ地区に入ることを要請するかも知れないと予測できます。イスラエルにすればハマスの攻撃を止められれば、それでよいのです。国際社会も監視団を送り込まなければイスラエルがガザ地区に長期駐留することになることは理解できるので、賛成するでしょう。
space-war.comは地上戦を次のように報じています。
ガザ市(Gaza City)、ベイトラヒヤ(Beit Lahiya、地図上ではBeit Lahia)とジャバリヤ(Jabaliya、地図上ではJabaliyah)で犠牲者が出ています。ハマスのテレビ放送には電波妨害が行われ、「ハマスの指導者へ。お前たちの時代は終わった」というキャプションが流され続けています。テレビ放送を妨害して、キャプションを流しているのは、もちろん心理戦の一環です。イスラエル海軍は沿岸20海里に阻止線を張っています。
military.comによると、イスラエル軍はガザ付近まで迫っているようです。戦車部隊がガザの南にあるネザリム(Netzarim・下の地図ではNezarim)にある、2005年にイスラエルが放棄した入植地(地図では水色の部分)付近に到達しました。かなり進撃速度が速いようで、ガザ市の包囲は完了しています。しかし、これはハマスの元々の戦略です。問題はここからハマスがどれだけの抵抗を行うかで、どちらの意図がより実現するのかが焦点となります。また、南部でも侵入が確認されました。しかし、詳細は書かれていません。当然、北部からと同時に南部でも侵攻するはずなので、これは納得できる動きです。兵数は3個旅団規模で、砲兵隊の支援を受けています。また、爆弾捜索犬が使われていることが明らかになりました。これはIED対策でしょう。一方、ハマスの兵数は20,000人だという情報があります。これはかなり手強い数字です。すでに民間人の被害が出ており、ベイトラヒヤで、12歳の少女を含む5人家族、他に8人の民間人が、戦車の砲弾で死亡したことが報告されています。被害者の数は刻々と増え続けており、記事には民間人の被害は100人と書かれていますが、今朝のBBCニュースは500人と報じ、イスラエル軍では1人が戦死したとしています。
目下のところ、イスラエルはマスコミがガザ地区に入ることを認めていません。本来、マスコミの取材は認められなければいけないと定められていますが、多くの場合、それは実行されません。これが状況をより分かりにくくしています。YouTubeの映像も地上戦関連のビデオが増えています。イスラエル軍は自分に有利な情報だけを流すよう工夫しているわけです。