military.comによると、米海兵隊がイラクとアフガニスタンに派遣された兵士から不評が続出している防弾ベストを新型に改良する命令を出しました。
防弾ベストの性能不足については、このサイトでも何度かお伝えしてきました。現場の兵士から、ピナクル・アーマー社の「ドラゴン・スキン」の方が支給品の防弾ベストよりも信頼できるという声があがり、自前で防弾ベストを用意する兵士や兵士の家族が購入して戦地へ送るケースが続出しました。僅かながら、顔を守る防弾着を使う兵士まで現れました。米陸軍は兵士が支給品以外の防弾着を使用することを禁じました。海兵隊は2007年4月に、基本的に支給品を使い、それ以外に自前の防弾着を使うことは容認するという命令を出しました。装備品の欠陥で兵士が死ぬのを許さないのがアメリカ社会で、米議会も事態を問題視しました。
記事によれば、1,000人以上の隊員を調査した結果、この決定がなされました。海兵隊が1億ドル以上の費用を払った防弾ベストは重すぎ、制約が多すぎたのです。海兵隊は改良型モジュラー式戦術ベスト(Improved Modular Tactical Vest)を開発中です。昨年初期、海兵隊の指揮官ジェームズ・コンウェイ大将(Gen. James Conway)は、現行のモジュラー式防弾ベスト(Modular Tactical Vest)、20,000着の発注を停止しました。これは2006年9月に8千4百万ドルで発注された84,000着の防弾ベストの最後の20,000着分です。
それにしても、長いことかかったものです。しかし、欠陥のある装備品が改良されるには往々にして、これくらいの期間が費やされます。現行の装備品は様々なテストや検討を経て承認されています。それをひっくり返すには、過去の考察を覆すだけの証拠が必要なのです。これは軍事問題を考える上で記憶しておくべき数字です。巨大な組織である軍隊は、すぐに舵を切れないのです。いかに緊急を有するものであっても、軍隊ではこれくらいの時間がかかるということを、覚えておきましょう。