military.comが、ガザ市街戦の続報と停戦への努力について報じています。現時点での全面的な停戦はほとんど可能性がありません。一方、イスラエル軍は進撃を阻まれ、2006年のヒズボラとの戦闘に状況が似てきた可能性があります。
イスラエル軍が砲撃して死者多数が出た国連学校の位置は、ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプと分かりました。海岸付近にある難民キャンプではなく、ガザ市よりも北にあるジャバリヤ(地図上ではJabaliyah)です。ジャバリアの南西部に国連の難民施設があります。学校はこの中にあったのでしょう。事件が起きたのは現地時間の6日ですから、事件当時、この付近でイスラエル軍とハマスが激しい戦闘状態にあったことが分かります。地上戦が始まったのが現地の3日ですから、イスラエル軍は3日間費やしてもガザ市北部にある街を完全に掃討できていないことになります。ジャバリヤは半分しか占領できていなかったのです。これは惨劇に関する情報と言うだけでなく、貴重な戦闘情報です。現地の詳細は不明ですが、ハマスがイスラエル軍を効果的に食い止めている可能性が出てきました。中部、南部の戦域に関する情報も出てきていませんから、イスラエル軍は次第に膠着状態に陥っているのかも知れません。しかし、結論を出すにはもう少し待った方がよさそうです。
イスラエル軍はハマスの戦士を多数殺害していると発表しています。しかし、彼らがハマスの戦士だという遺体が本当にそうなのかは疑問を持つ必要があります。イスラエル軍の被害も実状をどれだけ反映しているのか疑問です。guardian.co.ukのインタラクティブマップをチェックして、疑問を感じた人はいなかったでしょうか。開戦1日目から順にパレスチナとイスラエル軍の被害を確認してみてください。パレスチナ側は徐々に死者と負傷者の数が増えていくのに、イスラエル軍は同じ数が数日続いては急増することを繰り返しています。これは被害数を調整して発表していることを連想させます。特に、1月4日に9人だった負傷者が5日には62人に激増し、7日までそのままの数字が続いています。実際にこの通りに被害が出た可能性もありますが、不自然さを指摘せずにはいられません。
戦争の論理から言うと、この時点での停戦はあり得ません。どちらも負けを認めるようなものだからです。国内メディアは毎日3時間の停戦が、全面的な停戦につながるかのように報じていますが、激しく争っている間は、停戦は実現しないのが普通です。それでも、エジプトが積極的に仲介役を務めているのは心強いところです。