military.comによれば、木曜日にパキスタン東部のラホール(Lahore)にある治安関係施設3カ所を銃を持った男が攻撃し、北西部のコハット(Kohat)では自爆攻撃があり、総計で37人が死亡しました。いずれアフガニスタン国境での武装勢力に対する攻勢に対抗するためとみられています。
ラホールにある移民からテロ問題を使う部署が入っている連邦調査局の建物は、午前9時に攻撃を受けました。この建物は2008年3月にトラックによる自爆攻撃を受け、24人が死亡、100人以上が負傷した事件があった場所です。攻撃は1時間半続き、攻撃者2人が死亡、政府職員と見物人4人が死亡しました。攻撃者の1人は自爆ジャケットを着ていました。ラホール近郊のマナワン(Manawan)の警察訓練学校では、攻撃者1人が警察により殺害され、他の3人は自爆しました。この施設は今年はじめにも攻撃を受け、8時間の攻防が続き、12人が死亡した場所です。空港に比較的近い警察のエリート・コマンド訓練施設は5人の攻撃者により攻撃を受け、ある家族が人質に取られました。攻撃者は全員が銃撃戦で死ぬか自爆し、人質の家族は解放されました。警察官1人が死亡したとされます。犯行声明は出ていません。北西部コハット(Kohat)のサダル地区(Saddar area)では、警察署の隣で自動車を使った自爆攻撃があり、建物が半分潰れ、警察官3人と民間人8人が死亡しました。
インド国境側の街で連続したテロ攻撃を行ったのは、北西部での掃討作戦への牽制でしょう。すでに北西部だけでなく、東部においてもタリバンがテロ攻撃を行える状況になって久しく、インド国内でもアルカイダが関与したとみされるテロ攻撃が何度も起きています。インドネシアとフィリピンにもアルカイダ系テロ組織があることを考えれば、アジアにアルカイダ拡大の危険は常にあります。パキスタンの核兵器の安全に対する疑問の声が出るわけです。しかも、情報があまり出てこないので、現状がよく分かりません。気をもむ状況がずっと続いています。
なお、military.comによると、アフガニスタンのタリバンに関する米情報機関の見積もりが明らかになりました。フルタイムのタリバン戦士は少なくとも25,000人で、去年の見積もりよりも5,000人、25%の増加を示しています。金との引き替えてタリバンに協力するパートタイムのタリバン戦士や時折武装勢力に協力する犯罪組織はこの中に含まれていません。現在、アフガンには米軍が45,000人、その他の外国軍が39,000人、アフガン軍は2011年までに134,000人に増加するよう努力中です。これが正規軍同士の戦力比較なら、国際社会の勝ちですが、ゲリラ戦となれば十分にやれる数字です。 それも大ざっぱな数字しか分からないのが問題です。去年以降、タリバンが5,000人増えたのか、それとも単に去年の見積もりが少なすぎたのか。それすら分からないのが現状なのです。