オーストラリアも3〜4年でアフガンから撤退

2009.10.22

 military.comによると、オーストラリアはアフガニスタンでの自国軍の任務を3〜4年間で終了し、撤退を短期間で完了させることを望んでいます。

 ジョン・ファルクナー国防大臣(Defence Minister John Faulkner)は、オーストラリアは「可能な限り最短の時間枠」で、アフガン派遣を完了させる方法を検討しています。現在、アフガンには約1,550人のオーストラリア兵がいます。ファルクナー大臣はABCラジオに対して「私はオーストラリア国防軍に、可能な限り最短の時間枠で、我々が重要な役割と責任の両方を効率的に完了させることを保証する勧告を求めています」と述べました。また、大臣はこの方針がスタンリー・マクリスタル大将の新戦略に影響を与えることを認め、国防軍の長、アンガス・ヒューストン空軍大将(Air Chief Marshal Angus Houston)と討議していることを明らかにしました。しかし、ファルクナー大臣は、同国が兵士の数を引き下げ始める気はまったくないとも述べました。ケビン・ロッド首相(Prime Minister Kevin Rudd)は「最後までやり抜く」と述べ、「我々にはこの国(アフガン)が2001年における優勢な状況に逆戻りする余裕はありません。我々はこの国がテロリストの訓練基地になることを望みません」と言いましたが、世論の指示を受けられていないことを認めました。ヒューストン大将は、国際部隊がアフガン軍を3〜4年間で手放せることを望んでおり、早期の撤退は危険だと警告しました。オーストラリア軍はアフガン派遣で11人の兵士を失っています。

 ドイツに続いて、オーストラリアも3〜4年という範囲内でのアフガンからの引き揚げを望んでいることが明らかになりました。引き揚げが決まれば、さっと退却するための準備を、すでに考え始めているということです。これはすでに世界的な流れであり、ほかの国際部隊も似たような期間でアフガンから引き揚げる動きが確定したといってよいでしょう。アメリカでは誰も口にしませんが、米軍も同じ期間でアフガン軍の育成が完了したと宣言し、主力部隊を引き揚げることになります。イラクと同じで、国際部隊は決定的な勝利を収められないまま、戦地から戻るのです。目的を達成したから引き揚げるのでないことに注目が必要です。早い話が、西欧はイスラム諸国とそこに住む人たちの価値を軽く見ないまま、この戦争を進めたのです。イラクでは民間軍事会社があらゆる廃棄物を巨大な穴に放り込んで燃やして問題となりました。彼らは自国で同じことをすれば、環境基準に違反して逮捕されることを理解していたはずです。イラクなどどうでもよいと考えていたから、こうした暴挙を行えるのです。そこには、発展途上国の人たちは、変な形の服を着て、自分に理解できない言葉を話す者たちという、人種差別的な見解しか見えてきません。

 過去に、植民地で次々と起きた植民地解放運動が植民地廃止の方向に動いたように、2001年以降の対テロ戦争はイスラム主義と西欧の対立に決定的な変化をもたらすことになります。この戦いがいつ終息するかは不明ですが、その次はアフリカ諸国の問題が浮上し、それが終わると世界の大きな戦争の火種はなくなり、大がかりな戦争は地球上からなくなるかも知れません。それにはおそらく2〜3世紀はかかるでしょう。自分たちがいない世代の話になるとしても、少しでもよい未来を子孫に手渡すのが私たちの責務なのは当然です。

 ここから分かるのは、先進国は自分たちの「戦争文化」を変えるべき時期に来ているということです。戦争の目的や手段は、これまで以上に発展途上国に親切な方向へと切り替えられる必要があります。国連からして、発展途上国に対する視線は未だに差別的です。私はできるなら、日本の自衛隊にその変化の先陣を切って欲しいと考えます。世界を指導する立場にあるアメリカの軍隊、米軍が変化しないと大きな変化が起きないのは当然ですが、平和憲法を持つ日本の自衛隊がこの分野を率先して欲しいのです。大したことのない北朝鮮の脅威を煽り立てて満足するのは止めにして欲しいのです。


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