アフガン軍・警察の訓練に問題発覚

2009.10.9
追加 同日 12:22

 military.comがアフガニスタン軍の訓練に大きな問題が起きていることを報じました。

 アフガン軍の兵舎は仕切りは破れ、廊下や寝室、低木の茂みはゴミだらけ、検問所には注射器が転がっています。アフガン軍の訓練は、見境のない汚職、広範囲にあたる識字率の低さ、補給品の消失、自制力の欠如が蔓延しています。対立するグループをひとつに統一するための努力も必要で、進歩は劇的に遅れています。最新の四半期報告書によると、国際的な支援なしに活動できるアフガン警察の部隊は559個中、24個だけです。7月の四半期報告書では、独立して活動できる警察部隊は123個中、47個でした。最新の報告では、採用と将校への昇進はしばしば却下されています。補給品が目的地に着く前になくなるとか、兵士が将校に自分の給料を支払う状態が続いています。報告書は、こうした問題はアフガンだけではないが、最も高いレベルからスタートしていると書いています。

 イラク軍の再建でも起きた問題がアフガンでも起きているようです。報告書が「アフガンだけではない」と書いているのはイラクの事例があるためで、「最高のレベルからスタート」とは、つまりアフガンの状況はイラクのそれよりも悪いということですイラクでは装備品を上官が部下に販売するなどの問題が起きていました。武器の大量紛失も過去にここで取り上げました。7月に123個しかなかった警察部隊が559個に急増し、独立して行動できる部隊は47個から24個へ減るという急激な変化も、イラク軍の再建で見られた現象です。本来、この数字は右肩上がりで上昇しなければなりません。これをあと3年間で改善するのはおそらく無理です。イラクでの問題は最近報じられなくなりましたが、多分、まだ存在しているはずです。というのも、問題が彼らの古くからの慣習に基づいているからです。マクリスタル大将が増派を求めているのは、こうしたイラク軍・警察の問題を改善するためでしょう。イラクでのレベル程度まで状況を持っていくことが自分の目標だと考えているのだと考えてよさそうです。オバマ大統領がマクリスタル大将を後押しして、米軍の任務を極力、治安任務から訓練へ転換することになるかも知れません。バイデン副大統領の案は実験的で、新しい展開を生むかも知れませんが、現在の状態からの転換は異論が多いでしょう。いずれにしても、問題は際限なく起きてきます。うんざりするほど同じことが繰り返されるのが、イラクとアフガンの復興活動なのです。

 追加します。別の記事に、オバマ大統領はバイデン副大統領の案を検討していないと明言し、1〜4万人の増派を検討しているが、まだ決定は下していないと書かれていました(記事はこちら)。なお、7月の世論調査で44%だったアフガン戦への支持率は最近の調査で40 %へ下落しました。また、共和党支持者の69 %がアフガンへの増派に賛成し、民主党支持者の57 %が反対しています。


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