パキスタンが核兵器の保安で米に協力要請?

2009.11.10

 「The New Yorker」の最新号に、セイモア・ハーシュが書いた「武器庫の防衛 不安定なパキスタンで、核弾頭は安全であり続けられるのか?」という記事が載りました。この中でハーシュは、米軍がパキスタンの核兵器管理に対応するための部隊を設けていると書き、パキスタン政府の反発を受けています。

 記事を見ると、前パキスタン大統領パルヴェーズ・ムシャラフがハーシュに語ったこととして、アメリカとパキスタン政府の協力関係は少なくとも8年前に始まり、2001年の同時多発テロのあとで、両国は米国務省の非拡散専門家にパキスタンの武器庫の指揮統制と現場の保安手順を考察させる広範な議論を行ったと書かれています。パキスタンは核兵器の貯蔵と移動のために巨大なトンネルシステムを建設しており、このトンネルは核兵器でも手を出せないほど深い場所に造られています。このトンネルはアメリカの情報組織が偵察衛星を使って核兵器の移動を探知するのを不可能にしています。おそらく、この部分までがムシャラフが語ったことと思われます。

 爆縮レンズ、起爆器、クライトロン(高速スイッチ装置)は個別に、ミサイルや航空機のような運搬装置から離して保管されています。核攻撃の命令権は10名の国家指揮最高部が有します。これはインドとの対立があまりにも早く進展するのを阻止するためです。核保安の専門家はこの過程の机上演習を行い、起爆装置とその他の要素は移動して組み立てられているときに、爆弾と外部グループとの障壁が最も薄くなると結論しました。この部分の情報源は明確には示されていませんが、ムシャラフかも知れません。

 元米情報機関の高官によると、パキスタンの核兵器の部品を除去したり解体する訓練を受けたチームは、統合特殊作戦軍(JSOC)によって拡張されています。この夏に、パキスタンの核兵器の構成物が行方不明になったという兆候があるとの情報当局者からの報告に基づき、情報機関、国防総省、FBI、DOE(エネルギー省)の専門家で構成されるチームが、警報から4時間以内にメリーランド州のアンドリュー空軍基地から出発しました。警報が間違いであったことが判明した時、彼らはドバイまで行っていました。

 この記事はかなりの長文で、他にも多くのことが書かれています。

 一番肝心な部分が匿名の情報源なのが残念です。また、特別チームが米本土から出発している点も疑問です。早い話、これでは間に合いそうにありません。せめて、アフガニスタンのバグラム空軍基地くらいに配置しないと、即応態勢はとれないでしょう。記事には特別チームは起爆装置を解体して爆発を止めることに焦点をあてていると書かれています。これはパキスタンが起爆装置に関するすべての情報をアメリカに開示することにつながります。基本的構造を理解していても、実際の解体作業には起爆装置そのものの知識が必要です。これはアメリカにパキスタンが核兵器の機密情報を明かすことであり、こんなことがあり得るのかと思います。準備されているというチームは顧問団みたいなものではないかと思います。それに、起爆装置を取り外すのなら、パキスタンでもできるはずで、アメリカがそこまで関与する必要があるのかが分かりません。これらの疑問を確認することもできないので、記事の信憑性はグレーのままです。

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