陸軍基地銃撃事件は単独犯か?

2009.11.10

 フォート・フッド基地の銃撃事件は、オバマ大統領の訪日延期をもたらすほどの影響を及ぼしました。今のところ、犯行は単独で行われたと見られていますが、アルカイダとの関連が調査されています。

 ワシントン・ポストが事件でなくなった人たちのプロフィールを報じています。

 ワシントン・ポストの別の記事によると、犯人のハサンは小康状態で、話ができる状態になっていますが、病院は詳しい状態についてはコメントしていません。現在は、フォート・フッド基地の南西150マイルにあるサンアントニオの陸軍病院にいます。フォート・フッド基地司令のロバート・コーン中将は、この事件が独立した事件だという認識を示しています。コーン中将によると、事件の負傷者は27人が退院し、15人が入院したままで、8人が集中治療室にいます。

 調査官は、ハサンが2001年に説教に参加したヴァージニア州フォールズ・チャーチにある「ダル・アル・ハジラ」というモスク(the Dar al-Hijrah mosque)の指導者アンワル・アル・アウラキ(Anwar al-Aulaqi)との接点を調査しています。アウラキは2002年にアメリカを去り、イエメンでアルカイダのプロモーターとなっています。アウラキは自身のブログで、ハサンを「英雄」「良心の男」と呼び、犯行を「美徳」と評し、イスラム系の米軍人に同じことをするよう呼びかけています。アウラキは2006年に首都サヌアでアルカイダと疑われる小グループと共に逮捕されました。昨年、彼は、違法行為を行わず、国外に出ないことを書面で誓約したあとで、刑務所から釈放され、その後、所在は不明です。イエメンの高官によれば、アウラキは同国の最重要手配武装勢力のリストに載っています。

 military.comによれば、ハサン自身の取り調べが、いつ行われるのかは不明です。新聞記事によれば、ハサンの母親の葬儀が2001年5月31日に「ダル・アル・ハジラ」で行われています。ほぼ同じ時期に、同時多発テロの実行犯2人がアウラキが説教をしている間に礼拝を行っています。ハサンの家族は2001年にこのモスクでの説教に参加していますが、同モスクの指導者ジョハリ・アブドゥル・マリク(Johari Abdul-Malik)は、ハサンの家族が説教に参加したかどうかは知らないと述べています。

 アウラキとの接点が立証される可能性は少なそうだと、私は考えます。ハサンの通信記録はすべて調査されているはずですが、今のところ、海外のアルカイダの幹部と連絡を取ったといった情報は出てきていません。ハサンが、攻撃目標の近くに身分を変えて潜伏し、必要なときに攻撃を実行する「スリーパー」だったという証拠はありません。イスラム教への個人的なシンパシーが犯行動機だと思われます。本当のテロ攻撃ならば、銃撃ではなく、自爆ベストを使って数百人を一度に殺害する方法を選びそうです。アルカイダがこの事件を宣伝に利用するのは当然で、それに乗らないようにしなければなりません。

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