英語圏向けアルカイダ支援サイトが増加

2009.11.21

 military.comによれば、7年前には30個に過ぎなかったアルカイダを支持する英語のウェブサイトが、最近は200以上に増えています。

 サウジアラビア政府のイスラム過激主義のウェブサイトと戦うプログラム「アスサキーナ(Assakeena)」の長、アブドゥルマナム・アルムシャワ(Abdulmanam Almushawah)によれば、その一方でアラビア語の同種サイトは7年前には1,000個あったのに、現在は約50個に減少しています。アスサキーナは「神からの平穏」という意味で、サウジ政府がテロリストの70%がインターネットによってグループに誘われたことを見出したあと、2004年に設置されました。イスラム教の聖職者アンワー・アル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)が、同時多発テロの犯人や銃乱射事件のハサン少佐に影響を与えた可能性がいわれていますが、アウラキのウェブサイトはアルカイダの公式サイトではありません。NEFA財団(NEFA Foundation)のエバン・コルマン(Evan Kohlmann)は、過激主義者に最も影響を与えるのは、アウラキのような神学上のアドバイザーが書いた文書で、彼らの一部はアルカイダの高官ですらありません。政府の支援を受けた説教師400人が過激主義のサイトを監視し、より穏健なメッセージをこのサイトに注ぎ込みます。また、ウェブサイトで出会った武装勢力と直接接触し、対話することも行っています。これは数週間から数ヶ月間になることもあります。このグループが接触した2,631人の武装勢力のうち、1,170 人が過激主義への支援を止めています。約5分の1の武装勢力はヨーロッパと北アメリカ出身で、残りがアラブ諸国出身です。

 「アスサキーナ」は2004年から活動しているのに、これまで報じられなかったのが理解できません。これは極めて重要な活動です。以前からこうした活動に関する情報を知りたかったのです。アラブ諸国がイスラム過激主義を防止するために、どのような活動を行い、どのような成果をあげているかを知るのは極めて重要です。なぜなら、アフガニスタンやパキスタンで活動する武装勢力は、これらネット上で徴募されているからです。現地で戦っても、外国から補充兵がやってきたり、資金が流れてくるのでは、戦う意味がありません。先日もイエメンにアルカイダの訓練キャンプがあるという記事が報じられたばかりです。こうした活動こそ、アルカイダの動きを止める有力な手段です。私が2001年の同時多発テロ直後に対テロ作戦に必要な戦略を検討したとき、アメリカはこうした運動をアラブ諸国と共に行う必要があると考えましたが、その後、派手な記者会見が中心の侵攻作戦ばかりしか展開されないのに失望を覚えたものでした。

 しかし、これらのアルカイダ支援サイトは、アルカイダが運営しているのではなく、外部の者が手がけているという点で、アルカイダには有利な点があります。ウェブサイトをつぶすだけでは不十分です。やはり、イスラム教徒自身がアルカイダを支持しなくなるように、世論を巧みに形成していく必要があります。オバマ大統領がイギリスのバッキンガム宮殿でサウジのアブドラ国王に深くお辞儀したことを、アメリカの保守派が問題視していますが、私はむしろこうした姿勢こそ、イスラム教徒を味方につける上で必要な行為と考えています。

 NEFA財団のサイトに武装勢力が撮影したワナットの戦闘の映像(映像はこちら)、アルカイダに関するレポートなどが掲載されています。ご参考にして下さい。


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