アフガン新戦略発表は来週前半か?

2009.11.25

 military.comによれば、オバマ大統領はアフガニスタン戦略に関して、最後の会議を開催し、感謝祭の祝日(11月の第4木曜日)の後、議会が祝日から戻った、来週の火曜か水曜日に発表すると予想されます。

 軍事当局者は大統領が32,000〜35,000人を増派する、中間的なオプションに落ち着くと予想しています。この兵数は今月初めの最後の会議以前から最もありそうな数字とされてきました。この会議で、軍の立案者は大統領から派遣の一部のタイミングと構成を変更するよう命じられました。オバマ大統領は、いつどんな条件でアメリカがアフガン政府へ責任を引き渡すかを明白にしたいようです。オバマ大統領は9月中旬から毎週月曜日の夜に会議を行い、10回の討議を重ねました。増派される部隊はアフガンの南部と東部に集中するとみられます。すでに今年増派された増派部隊はヘルマンド州で限界まで散開した海兵隊を助けるよう指示されており、カンダハル州での活動はいく分拡張されました。増派部隊は少なくとも陸軍3個旅団と海兵隊の1個分遣隊を含むとみられます。

 なお、military.comによれば、タジキスタン政府と十年間対立してきたタジク人がウズベキスタンのイスラム運動とアルカイダに参加しました。兵数は不明ですが、組織の指導者は元タジキスタン軍の大佐で、旅団長を務めていたマフード・コウドイベレディエフ(Mahmud Khudoyberdiyev)です。彼は1997年に失敗した反乱を率い、1998年に隣国のウズベキスタンに逃亡するまでは、北部の街を支配しました。米情報当局者は、コウドイベレディエフ自身がアルカイダに参加したかどうかは不明としています。記事の残りは省略します。

 オバマ大統領が細かいところまで指示しているのは、小泉総理のように指示だけして、他人に丸投げするのとはレベルが違い、好感が持てます。しかし、そうしたから事態が好転するかというと、それほど戦争は簡単ではありません。こうした工夫がまったく効果を奏しないこともあるのです。むしろ、人が命を賭けた努力を台無しにするのが戦争なのですから、理性が通じると考える方がおかしいのです。たとえば、タジク人がこの戦いに参戦したことで、事態はまた別の方向に動くかも知れません。アフガン北部の輸送ルートをウズベク人の武装勢力が攻撃し、アフガン北部の治安が悪化しています。さらに、タジク人の攻撃が追加されると、この方面の情勢は変化するかも知れません。あるいは、まったく知られていない要素が、事態を大きく狂わせるかも知れません。こうなると、状況を眺めて、対処療法的に動くしかなくなります。なんだか、太平洋戦争中の日本軍の戦略が迷走したのと共通しているように思えてきます。こうした悪夢の中でもがいているような感覚に陥らないことが、正しい戦略から外れないコツなのです。アメリカが、これをどこまで修正できるのかが、今後のポイントとなります。しかし、期待は何も持てません。ベトナム戦争と似た結果を予測するのが妥当なところでしょう。

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