パキスタン軍が依然として進撃中

2009.11.3

 military.comによれば、パキスタン軍は、3週間の攻勢に押され、大勢の外国人戦士がパキスタンの南ワジリスタンから逃げ出したと発表しました。

 600〜800人の外国人戦士がカニグラム(Kanigurram)周辺にいるものの、彼らの抵抗はジェット機、ヘリコプター、砲兵による爆撃で崩壊したと、モハマンド・イサン准将(Brigadier Mohammad Ihsan)は、記者団に述べました。カニグラムはテリク・エ・タリバン(Tehreek-e-Taliban)の主要な作戦基地で、ウズベク人戦士の基地です。外国人戦士はほとんどが、ウズベク人とチェチェン人、アラブ人です。彼らが戦略的撤退を行った可能性はありますが、軍は武装勢力が行ういかなるゲリラ攻撃にも備えていると、イサン准将は述べました。攻勢は10月17日に、南ワジリスタンで、この地域のテロリストを掃討するために始まりました。パキスタン軍の兵数は約30,000人で、武装勢力は10,000〜12,000人と見積もられます。同軍によると、カニグラムの掃討作戦は50%進展しており、南のサラロガ(Sararogha)で武装勢力の抵抗を予測しています。日曜日の発表では、武装勢力の死者は306人、パキスタン軍は36人です。直接的な作戦は2ヶ月間続くと、イサン准将は述べています。250,000人が難民となっています。

 これまでもパキスタン軍の快進撃が報じられたことがあり、それが常にタリバンやアルカイダの殲滅につながっていないことを考えると、まだ作戦が成功したかどうかは不明です。これまでも、この程度の戦果はあげたことがあり、それが問題の解決につながっていないのです。この記事によると、ようやく記者が軍の同伴で戦地に入ることが許されたようです。記者たちは、IEDが爆発したことを示した家や市場、トラックと装甲車両の跡が著しい道路を見たようです。しかし、これらは情報としては少なすぎ、判断材料にはなりません。武装勢力が逃走したにしても、アフガニスタン側に逃げ込むだけかも知れません。冬が深まれば作戦は終了となり、春にタリバンが再び活動を始めるという、これまでのパターンが繰り返されます。それに、パキスタン軍のように誇り高い軍人が多い軍隊は、うまく行っていないことは報告しないのではないかという疑問もあります。今のところ、「今回はうまく行く」ことを示す証拠はひとつもありません。

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