military.comによると、オバマ大統領は新しいアフガニスタン戦略を数週間の内に発表するだろうとのことです。しかし、それが11月11日にはじまるアジア歴訪の前かどうかは、未だに不透明です。
記事の大半は、これまでの経緯の説明と、アフガンの大統領選に関する事柄で、アフガン戦略に関するオバマ政権内の討議の内容については、ほとんど書かれていません。ホワイトハウスからも、この件に関してはリーク情報すら出ないようです。1ヶ月くらい前から、「数週間」で結論が出ると言われ続けたまま、なぜか状況は変わっていません。活動が本格化してから、オバマ政権にとって、いまは難しい問題が山積しています。アフガン情勢もそうですが、沖縄の普天間基地問題は訪日の成否を左右しかねない問題です。それも、最重要問題とは言えない程度に重要な問題です。日本側も、普天間問題で中心的な役割を果たした守屋武昌事務次官(当時)が小池百合子氏によって事実上、退官させられた上に、山田洋行への収賄罪で裁かれました。さらに政権交代が起きたことで、これまで積み重ねた努力が消滅しかかっています。日米両政府とも相手を追い詰めるべき時ではありません。これまでは日本側が常に折れてきたわけですが、対等の日米関係や基地問題の見直しを公約とした日本の民主党としては、簡単に妥協できません。
最近、アフガン、イラク、パキスタンでテロ攻撃が続出しています。これらの国は、武装勢力と治安組織のつながりが深く、テロリストが治安組織に入り込むのは容易です。アフガンとイラクでは、アメリカが主導して、軍の再建に取り組んだものの、武装勢力が軍内部に浸透し、情報漏れや友軍によるテロが続いています。オバマ政権が40,000人の増派を承認しても、この問題が解決する見込みはありません。戦争がはじまると、軍は増派を政治家に求め続けるものです。ベトナム戦争でもジョンソン大統領は、やりたくない増派を承認する羽目になりました。増派してもアルカイダに勝てないことは、オバマ政権はすでに理解しているはずです。しかし、選挙公約で約束したこともあり、戦いを継続して、テロを防止する必要もあります。もともとは、ブッシュの戦争でしたが、いまやオバマの戦争です。すでに、出口がまったく見えない状態となっています。それほど難しい状況になっています。