女性退役軍人のホームレスが倍増

2009.12.16

 military.comによれば、女性の退役軍人がホームレスになる事例が増えています。

 元陸軍のマーガレット・オーティズ二等兵(Pvt. Margaret Ortiz)は、イラクを去るときに15,000ドルを持っていましたが、酒とコカインに使ってしまいました。非営利団体が運営する女性の退役軍人のホームレス用のプログラムを見つけるまで、彼女はサンディエゴの海岸やらんちき騒ぎの夜のあとで見つけた場所で眠りました。酒と薬は、イラクでの6ヶ月間、宿舎に対する攻撃や同僚の兵士からのセクシャルハラスメントを忘れさせてくれず、フラッシュバックと意識喪失をもたらしました。彼女は自殺も試みました。過去十年間で女性退役軍人は倍増し、毎晩、6,500人がホームレス状態で、これは退役軍人のホームレス全体の5%にあたります。彼女たちは幼少期や軍隊での性的なトラウマと戦っているといいます。オーティズは幼少期のトラウマを抱えており、イラクで男性の兵士から、彼女が売春婦であるように話しかける嫌がらせを受けました。彼女は運転手で、輸送隊は恒常的に攻撃を受けました。特に、ティクリートで宿舎としていたビルが迫撃砲で破壊された事件によって悩まされているといいます。

 記事には別の女性退役軍人の話、米議会の取り組み、オーティズが立ち直るまでの話も書かれていますが、時間がないので省略します。この問題を語るには、おそらくかなりの字数を必要とするはずです。重要なのは、過去十年間で女性兵士のホームレスが倍増したということです。これは対テロ戦とほぼ同じ期間です。2008年の中間選挙に多くの退役軍人が民主党候補として立候補したとき、その代表だった元海軍大佐が、政治がこうした問題に無関心なのに腹を立てているのをテレビで見ました。こうした問題はアメリカでも軽視され、日本ではほとんど知られていません。しかし、太平洋戦争の体験記にも、戦争で精神を病んだ人の話は書かれており、決して無視できない問題です。私は以前、強力なマグナム弾を散弾銃で撃っていて、強い反動で肩を痛め、痣ができたことがありました。その結果、痣が治ったあとでも、引き金を引けなくなる「フリンチング」という生理的反応が起こりました。これなどは問題としては極めて軽い方です。戦場で受けるトラウマに対して、的確に対応できるような人はほとんどいません。 誰かが問題を持つ人を補助する必要があるのです。このことは、戦争を考える上でもっと重視されるべきです。


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