新戦略後も国境地帯を重視?

2009.12.17

 military.comによると、タリバンが武器と戦士をパキスタンからアフガニスタンに運び込むアフガン南部の国境地帯では数百人の米兵士だけが治安を維持しています。

 7月に海兵隊が到着して、パトロール基地をカーン・ネシンの東西に設置するまでは、ヘルマンド州北部にある村落カーン・ネシン(Khan Neshin)はパキスタンから来るタリバンの主要な通過ポイントでした。大隊は承認された兵数の50%しか派遣されておらず、そのうち3個中隊はヘルマンド州中部に配置されています。残りの数百人の海兵隊がコネチカット州よりも広い約6,000平方マイルをカバーしています。結果として、海兵隊は増派の一部としてこの州に部隊が配置されるとき、タリバンの補給線を抑圧することで問題を生じるかも知れません。8,500人の海兵隊が2010年中期までにヘルマンド州に到着しますが、広大な国境をパトロールするために海兵隊を南部に送ると、北部の人口集中地域の部隊が減ることになります。最近、海兵隊との会議で、部族長がタリバン戦士多数がサル・バネーダ(Sar Banader)の北東12マイルの市場を通過するのを報告しました。ここを通るとマラジャ(Marjah)に到達し、自由に移動できるようになるといいます。マラジャはヘルマンド州中部のタリバンの拠点で、増派後は海兵隊の主要な目標になると見られています。パキスタンからタリバンの部隊がここへ送られると、海兵隊がマラジャを攻略するのが難しくなります。海兵隊の大隊指揮官は、アフガン国境警察と海兵隊を南へ移動し、パキスタン国境のすぐ北にあるバラム・チャー(Bahram Chah)の近くに前哨基地を設けるように訓練するのが目標だといいます。そのためには、数百人の追加の兵士が必要です。海兵隊はアフガン東部の遠隔基地を設けて恒常的に蹂躙され、一部の基地を放棄したという陸軍と同じミスをしたくないといいます。

 新戦略の骨子は人口州中部に兵力を集めるということですが、現場では国境地帯の警備を心配しているようです。これは「前進防衛」という考え方で、最初に防衛する場所の前方に防衛線を設けるやり方です。可能なら防衛線で敵を撃退するので、守るべき場所は安全というわけです。しかし、アフガン東部の国境線は山岳地帯を通っており、基地は孤立していました。ヘルマンド州の南部国境も半分以上は山岳地帯ですが、残りは砂漠です。山岳地帯も北側にある砂漠へつながっており、東部のように完全な山岳ではありません。それでも、あまり深く入り込むと東部と同じことが起きるでしょう。バラム・チャーはその点で、少し深い位置にあるように思われます。しかし、支援できないほど遠いわけではありません。オバマ大統領の新戦略は、このように現場サイトでは折衷的な方法として実行されるのです。元々の戦況と合わせて考えても、オバマ大統領の新戦略が特別な結果をもたらさないことは明白です。私は大統領の真意は、軍にやるだけやらせてから撤退の方向に話を持っていくことだと考えています。

(各地の位置はkmzファイルで追加する予定でしたが、Google Earthでうまく検索できませんでした)


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