アフガンの航空偵察を強化

2009.12.18

 military.comによれば、米軍はアフガニスタンへの30,000人以上の増派に合わせて無人偵察機を増やし、航空偵察を拡張します。

 この偵察は有人と無人の航空機によって行われ、新型センサー「ゴードン・ステア(the Gorgon Stare)」を搭載したMQ-9「リーパー」の能力が加わります。この拡張はこれからの8ヶ月間に行われます。ステルス偵察機の最新型に関する詳細な情報は提供されていません。アフガンに何機の無人機があるのかは明らかにされていません。今月、アフガンで機密の非武装の無人機が用いられ始めたことが確認されました。また、最初の有人偵察機MC-12Wも今月アフガンに派遣される予定です。ターボプロップ式の航空機6機がイラクで使われており、夏の終わりまでにイラクとアフガンに総計で30機の航空機が配置される予定です。リーパーは夏の終わりまでにアフガンに投入され、ゴードン・ステアは、2.5平方マイルをカバーでき、10のビデオ画像を収集し、10の異なる地上のユーザーに送信する能力を持ちます。より大型の地上基地は約50のビデオ映像を受信できるようになるでしょう。さらに、ハイテクのビデオセンサーを持つゴードン・ステア(the Gorgon Stare)がリーパーに搭載される予定で、4セットが夏の終わりまでに、9月か10月には3セットが送られる見込みです。このセンサーは2014年までに約65のビデオ映像を送れるようになる予定です。

 一方、武装勢力が無人機のビデオ映像を傍受しているという情報をmilitary.comが報じました。ハッキングには、インターネット上で、25.95ドルで売っている「SkyGrabber」が使われたとみられており、一部の航空機は無防備な通信リンクを使っているため、傍受は可能だったとみられます。

 米軍も問題点を分析して対策を練っているようです。先に紹介しているワナットの戦いでは、航空偵察の不足が武装勢力の接近を容易にした可能性が指摘されています。そこで、無人偵察機などの航空偵察を増強しようというわけです。もちろん、これは判断としては誤っていません。効果については、さほど期待できないにせよ、軍人という人種はできることはすべてやろうとするものです。

 しかし、無人偵察機のビデオ映像(多分、それらの一部)が暗号化されずに送信されるシステムだったということです。「SkyGrabber」は、おそらく空中の電波を解析するだけのソフトウェアでしょう。これなら暗号化されていないビデオ映像のデータを受信して、再生することができるはずです。もちろん、無人偵察機を操縦するためのデータは、機体を誰かに乗っ取られないように、暗号化されています。でも、ビデオ映像の暗号化も必要です。そうしないと、米軍がどんな偵察情報を得られているかが武装勢力に知られます。だから、当然、ビデオ映像も暗号化されているはずでしたが、そうではなかったのです。こんなシステムの欠陥を武装勢力がどうやって手に入れたのかが気になるところです。

Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.