military.comによれば、フランスとドイツがアフガニスタンへ直ちに増派を求めるアメリカの要請を拒否しました。
イギリスは既に500人の増派を決め、イタリア増派する予定ながら兵数を明らかにしておらず、ポーランドやその他の貢献国は進展を見守る立場を取っています。米当局者は、オバマ大統領が30,000人を増派することを発表しようとしており、イギリスのブラウン首相は今週、他の諸国が10,000人を増派するだろうと述べました。フランスのサルコジ大統領はアメリカの要請を却下しました。ル・モンド紙によると、バラック・オバマ大統領はフランスに現在の3,400人に加えて1,500人の派遣を要請していますが、ニコラス・サルコジ大統領は来年1月28日のロンドンで開催されるアフガニスタン会議の動向を見守るとのことです。ドイツのアンジェラ・メルケル首相は同じ意向です。ドイツはアフガン北部に4,300人を派遣しており、国際部隊で3番目に大きな貢献国です。ブラウン首相は増派に関して3つの条件を設定しました。アフガン政府が戦闘を行うために訓練される警察官と兵士を提供する約束をすること。イギリス軍が的確な装備を与えられること。他のNATO諸国も兵数を増強すること。NATO8ヶ国がすでに増派を決め、他の国が後に続きそうだとして、ブラウン首相は条件が整ったと述べました。ポーランドは1ヶ月以内に現在の2,000人に1,000人を加えるかどうかを決定します。オーストラリアは警察官の教官と民間の支援活動家を派遣しましたが、現在の1,550人をさらに増やす約束はしませんでした。
この記事が報じられた後で、オバマ大統領が士官学校で新方針を発表し、30,000人を派遣することが明らかになりました。私はCNNがNATO諸国からは7,000人が派遣されると報じるのを聞きましたが、要するにその兵数は未確定なのでしょう。米政府は現地指揮官マクリスタル大将の要求にできるだけ近い兵数にするために、NATO諸国に増派を要請していたようです。
増派の兵数は、当初マクリスタル大将が要請したという80,000人から大きく縮減されたことになります。安全保障会議で実際に検討されたのは10,000〜40,000人の増派であり、最初からマクリスタル大将の要求の半分で議論していたのですが、それをさらに下回る数字になりました。前に書いたとおり、80,000人の増派が必要な作戦に40,000人しか出さないのなら、それは誤断と評されます。直ちに反論する人たちが現れるでしょうが、オバマ大統領はアフガン戦から撤退することを決め、その開始時期を11年7月と決めました。30,000人はその間の治安維持のために用いられるのであり、マクリスタル大将が完全に任務を果たすために要求した兵数は不要なのです。さらに言えば、80,000人なら十分な活動ができると考えるのも誤りで、アフガンを完全に安定させるには、人口50人あたり兵士1人、つまりアフガンでは60万人からの兵数が必要であることを思い出さなければなりません。マクリスタル大将の要求は最初から妥協案なのです。オバマ大統領が兵数を少なく設定したことは誤りだという批判は軍事常識に反しているわけです。むしろ、犠牲になる兵士が少なくすむ分、よい判断だと言えます。
アフガン撤退により、ブッシュ政権以降引きずってきた誤った戦略から足を洗う機会が生まれます。オバマ大統領はこれを最大限に活用すべきです。それは従来の戦争文化に大きな変革を与えうる変化です。発展途上国で貧困が原因で起きるような戦争に対して、軍民の協力態勢が常識となるような戦争文化の変更です。これまで現場の兵士と支援団体が対立することがありましたが、今後はむしろ両者の協力が必要になると考えます。ハイテク兵器を発展途上国に持ち込んで、一般市民まで吹き飛ばし、目の前の勝利を誇るような戦争は終わり、発展途上国にテロ組織の存在意義がなくなるような環境をつくるために軍隊を運用するべきです。オバマ大統領にはそういう改革を行って欲しいし、鳩山政権も率先して推進して欲しいと考えています。