army-times.comによれば、イラク駐留米軍の副司令ジョン・ジョンソン陸軍少将(Army Maj. Gen. John Johnson)が、イラク政府の民兵組織「イラクの息子(the Sons of Iraq)」に対する処遇の重要性を主張しました。
ジョンソン陸軍少将は、バグダッドの検問所の多くが閉鎖される時期に来ています。イラクの息子がイラクの治安部隊に急襲されるか、一般の仕事を見つけるまで、イラク政府が彼らに給料を支払うという制約を守らないかも知れないという彼らの懸念を和らげようとしています。イラクの息子は100,000人近くおり、昨年まではアメリカが彼らに月額300ドルを払っていましたが、いまはイラク政府が支払っています。この給与支払いを長期的に行うことが問題とされています。アメリカの強い要請で、ヌーリ・アル・マリキ首相は最大でイラクの息子の20%を治安部隊に吸収することに合意しました。マリキ首相はイラクの息子に給料を支払う制約を守ると繰り返しています。予算の危機により、給与の支払いが遅れたり、十分な仕事が提供されないという不満がスンニ派に広がっています。残るバグダッド州のイラクの息子は年末までに公務員の仕事に吸収される予定でしたが、治安の問題により3月7日の議会選挙まで遅れることになりました。メンバーをどれだけ他の州で吸収できるかという問題が残っています。イラクは彼らに2010年まで給料を払うと約束していますが、どれだけイラクの息子に資金を提供できるかは不透明です。米軍によると、イラクの息子の指導者約212人が過去2年間で殺されました。
アメリカが撤退を決め、実行中のイラクにも、まだ問題が残されていることを知らせてくれる記事です。ほっておけば、約80,000人の男性が無職で放り出されることになり、下手すると彼らの一部が反政府武装勢力やアルカイダに合流するかも知れません。イラク復興で常に言われてきた問題が、いままた浮上してきたわけです。日本では、与党・民主党もアフガニスタンばかりに目を向けており、イラクはすでに片付いた問題との認識でいますが、これは早計です。もともと、イラク侵攻はブッシュ政権の先見のない戦略で始められ、行き詰まった結果、オバマ政権が強制終了したわけで、問題は解決したのではないのです。この問題は、むしろこれから現実の問題として見えてくるはずです。日本でも、アフガンだけでなく、イラクの息子の給料を負担するという話が出てくるかも知れません。