アメリカが無人偵察攻撃機による攻撃を増やしていることが報じられています。毎日新聞は国防総省が地上部隊の増強を押し、バイデン副大統領が無人偵察機による攻撃を押しており、オバマ大統領が両者を立てる戦略を採用したと書いていますが、私はこの見解に否定的です。
毎日新聞の大治朋子記者が書いた記事では「オバマ政権内には、米国防総省を中心に、地上部隊の増強を求める勢力と、米兵被害を減らすため、無人偵察機によるピンポイント攻撃を多用すべきだとするバイデン副大統領らを中心とした民主党系の勢力がある。オバマ大統領は、いずれの要請にも応える戦略を策定したとされる。」とされています。しかし、military.comに載った記事では、空爆の増加と共に、これらの地域で特殊作戦部隊が民兵組織を訓練する計画も同時に計画中です。つまり、地上部隊の増強とは違う計画が進行中なのです。無人偵察攻撃機の活動は機密事項で、民兵の訓練計画は最終的に決定されておらず、現段階で詳細は不明です。
大治記者が言うような単純で二局的な議論が、米政権内でされているとは考えられません。大治記者は先日発表されたアフガニスタンの新戦略とパキスタン用の戦略を混同していると思われます。パキスタン国内に地上部隊を入れることにパキスタン国民が強く抵抗してきたのは明らかで、そのために民兵組織の訓練計画が浮上してきたのだと考えられますから、一足飛びにパキスタンに地上兵力を投入するのは無理です。無人偵察攻撃機の空爆と、形は何であれ地上に兵力を持つことは、どちらも欠かせない戦闘の要素です。 もともと、オバマ大統領はパキスタン政府が何もしないなら、パキスタンの部族地域にいるアルカイダを攻撃すると選挙中に公約しており、これらの動きはそれにつながったものと見るべきです。
なお、military.com(記事1・記事2)によれば、オバマ大統領の演説の3日後に、アフガンで海兵隊が「コブラの怒り作戦」を開始しています。ヘリコプターとMV-22「オスプレー」で、ヘルマンド州のナウザッド峡谷の北端に第7連隊戦闘団第4海兵連隊第3大隊と第3海兵偵察大隊「ライダー」数百人、米海軍、イギリス軍が、アフガン兵150人に支援されタリバンの背後へ投入されました。オスプレーの実戦投入は初めてです。さらに、部族の民兵も作戦に参加しています。ナウザッド峡谷の海兵隊前線作戦基地から北方に戦闘工兵が投入され、タリバンの地雷源に装甲ローラー車と爆薬で通路を作っています。現在までに、タリバン兵4人が死亡しました。友軍に死傷者はいません。この攻勢は、ヘルマンド州のタリバンの通信ルートを切断し、特にIED用の爆発物を提供する補給線を崩壊させるのを狙っています。数カ所の武器の隠し場所と少なくとも400ポンドの爆発物(記事2には、IEDが300個と書かれています)を発見しました。米軍広報官は「いま、敵は混乱し、組織はバラバラです。彼らは戦っていますが、非効率な状態です」と主張しています。コブラの怒り作戦は、ヘルマンド州北部と中部のタリバンを締め出すための一連の作戦の第一弾で、最終目標はタリバンの作戦活動と麻薬の基地であるマルジャ(Marja)を支配下に置くことです。その他、一連の作戦の目標なども書かれていて、それらも重要ですが、時間がないため省略します。作戦の評価も、もう少し情報が欲しいところです。
military.comによれば、フォート・フッド基地の乱射事件の英雄キンバリー・マンレイ巡査部長(Sgt. Kimberly Munley)は、1月に被弾した膝の関節全置換術を控えており、手術後は走ったり、15〜25ポンドの装備品を身につけると膝を損耗するため、外勤警官は続けられないとの見込みです。