military.comによれば、米海軍の誘導ミサイル巡洋艦ヴェラ・ガルフがアデン湾で海賊7人を逮捕し、海賊対策がとられてから、初の戦果となりました。
ヴェラ・ガルフは現地時間の午後3時に発動機船ポラリスから遭難信号を受信しました。海賊は小型ボートから梯子をかけて、ポラリスに乗り込もうとしました。ヴェラ・ガルフは遭難船に向かい、ボートを阻止しました。水兵のチームは抵抗されることなくボートに乗り込み、そこで武器を発見しました。犯人たちはヴェラ・ガルフに乗船させられ、ポラリスの乗員によって、攻撃してきた海賊であることが確認されました。米海軍は海賊たちを補給船ルイス・アンド・クラークの拘束エリアに一時的に転送する予定です。海賊はソマリ国籍と考えられています。別の記事によると、翌日、ヴェラ・ガルフはさらに海賊9人を逮捕しました。
記事に掲載されている写真を見て、こんな連中に世界が震えていたのかと、拍子抜けする人もいるのではないでしょうか。この程度の武装集団に大騒ぎして、世界中の海軍が戦闘艦を派遣しているのです。世界の注目の中で、海軍の軍人たちは討つべき敵を探し回っています。私が海賊なら、さっさと逃げ出したいような環境です。洋上には隠れる場所がなく、足の速い船で水平線の向こうへ姿を消せないのなら、相手を攻撃して戦闘不能にするしか生き残る道はありません。どこかの海軍艦がその搭載兵器の射程内にいて、こちらに向かってきているのなら、もう逃げても無駄という世界です。彼らが直ぐに降伏したのも当然で、こんな小型ボートと海軍艦では最初から勝負にならないのです。各国は新しい敵をテロリストと同一視し、こぞって海軍を派遣しました。どんな任務でも海軍は気を抜けないものですが、彼らにとって、こんな海賊は捕捉さえできれば敵ではありあせん。負荷は低く、テロリストではないのに準テロリスト扱いの敵をやっつけたという実績を残せます。こんなおいしい任務を作ってくれたのは、他ならぬソマリアの海賊たちなのです。ほとんど「大人げない」名誉争いがアデン湾で繰り広げられているわけです。ソマリアの海賊は、従来、世界が想定していなかった分野に目をつけた、一種の隙間産業でしたが、もはや潮時です。