産経新聞と時事通信が、北朝鮮がトンチャンドン発射施設からテポドン2号が発射される可能性があるとの記事を掲載しました。
産経新聞の情報源は日本政府筋で、そのまた情報源はアメリカで、偵察衛星による解析の結果だとしています。時事通信は韓国国防省ですから、おそらく、情報源はやはりアメリカでしょう。今回は、産経新聞の記事について気がついた点を書きます。
政府筋によると、米などの偵察衛星が、北朝鮮北東部の平安北道東倉里で新たに建設中のミサイル発射施設に複数のトラックが頻繁に出入りしているのを確認。
トンチャンドン発射施設は現在、建設中です。しかし、建設とは関係のないトラックが出入りしているのが確認されたということになります。
北朝鮮のミサイルは液体燃料を使用しているため、発射台への設置や燃料注入にはかなりの時間を要するため、発射は早くても1〜2カ月先になる可能性が大きい。
これは意味不明です。1〜2カ月先という数字は打ち上げ準備にかかる期間でしょう。発射施設はまだ完成していません。打ち上げは施設の完成後と見るのが普通ですから、打ち上げ準備だけを考慮するわけにはいきません。
考えやすいのは、施設の落成記念も兼ねて、テポドン2号を打ち上げる可能性です。トンチャンドン発射施設は、ムスダンリ発射施設と違い、ロケットを垂直な状態で組み立て、発射台へ運ぶ施設があると見られています。つまり、基地の完成までに、ロケットを組み立て、直ぐに発射すると考えた方が合理的です。従って、打ち上げはトンチャンドン発射施設が完成した直後と考えるべきです。ここには、燃料を備蓄して、発射台のロケットに直接注入する設備もあると見られます。前回のように、タンクローリーがロケットの前に列を作る必要はないのです。
テポドン2号は北朝鮮が独自開発した弾道ミサイルで、1段目に新型ブースターを登載し、2段目には旧ソ連が開発した短距離弾道ミサイル「スカッドC」を改良したノドンを使用しているとされる。
1段機体のエンジンは、ノドンのエンジンをクラスター化したものとみられていて、まったくのオリジナルではありません。この記事が言う「新型ブースター」が何かは不明です。2段機体はノドンのエンジン1基のはずですが、この記事ではスカッドCと書いています。
今回のミサイルはテポドン2号の改良型である可能性もある。改良型ならば射程は1万キロに達するとみられ、米本土も射程圏に入るとされる。
どこか改良しないと、前回と同じ結果になりますから、「改良型」なのは間違いがありません。前回はクラスターエンジンを連動させるジンバル装置に異常があった可能性が高いとみられており、それを改良しないはずはないのです。しかし、射程1万キロかどうかは分かりません。コンテナの大きさが大きいのは、燃料タンクが大きくなり、機体も大きくなったことを連想させますが、実際どうなのかは、発射台にテポドン2号が立たないと確認はできません。
ちょっと時間がないので、ここまでにします。