サウジアラビア政府によると、グアンタナモベイに収容されていた11人が、テロ組織に復帰していると、military.comが報じました。
サウジが発表した85人の最重要手配者のリストに11人のグアンアタナモベイ収容者が含まれていました。その内の1人アブドラ・アル・クラウイ(Abdullah al Qarawi)は、イラン領内でアルカイダの中心的メンバーとなっています。匿名を希望するサウジの治安当局者がニューヨークタイムスに語ったところでは、イラン領内で3年間活動し、「the Star」として知られており、100人以上のサウジ人がイラン領内で彼のために活動しています。クラウイはペルシャ湾とイランの責任者で、アフガンに新兵を送り込んでいます。タイムスの記事は、クラウイはグアンタナモベイの収容者ではありませんが、米政府の公開情報は元収容者多数がイランでアルカイダのネットワークに入っているとしています。ロングウォー・ジャーナル(The Long War Journal)は、イランと関連を持つ元グアンタナモベイ収容者50人以上公表しました。イランのアルカイダ施設のほとんどは、マシュハド(Mashhad)、ザーヒダーン(Zahedan)、テヨイバット(Tayyebat)などのイラン東部にあります。ロングウォー・ジャーナルは85人の手配リストを報じたサウジプレス(the Saudi Press Agency)に9人の元収容者を特定するために連絡を取りましたが、まだ回答を得ていません。
記事は、サウジのリストに載っている11人すべてが元収容者であるかは不明だとしています。最近復帰が報じられたサイド・アリ・アル・シヒリ(Said Ali al-Shihri)と、彼の仲間のアブ・ハレス・ムハマンド・アル・アフィ(Abu Hareth Muhammad al Awfi)はアルカイダに復帰しています。ロングウォー・ジャーナルは、本国に送還された元収容者とサウジの手配リストの名前を比較し、8人が同一であることを確認しました。しかし、これらの名前は一般的だったり、部族の名前だったりで、完全に正確ではありません。また、アラブ語を英語に日本訳する方法は一貫していません。
記事は同一の名前を持つテロリスト3人をあげていますが、完全に識別されたのではないため、あとで修正される可能性があるとしています。その1人はアル・シヒリ(正確には、Yousuf Mohammed Mubarak Al Jubairi Al Shahri)です。もう1人は、ムタダ・アリ・サイード・ムクラン(Murtada Ali Saeed Mukram)。アフガニスタンで戦闘員として戦ったとされています。最後の1人は、ツルキ・マショイ・ザイド・アッシリ(正確には、Turki Mash Awi Zayid al Asiri)。彼はアルカイダの隠れ蓑になっているイスラムの慈善団体とつながりを持っています。
元収容者とテロリストが同一人物であることの特定が名前だけだったとは驚きです。アルカイダのテロリストは活動家としての名前を名乗ることもあり、アル・シヒリの名前を誰かが使って活動した場合、別人と誤認することもあります。復帰が確実とされたアル・シヒリまでが別人だった場合、元収容者のテロ組織復帰は最初から見直す必要が出てきます。アルカイダの活動の実態は以前から、文化の壁に阻まれてよく分かっていません。専門家ですら、アルカイダ系のネットフォーラムの書き込みを分析するしかなく、誤りをアルカイダから指摘され、批判されることもあります。同時多発テロの後、テロリストと偶然にも同じ名前だった人が誤認逮捕された事例もあり、先日のアル・シヒリの報道の根拠が名前だけだったとすると、今後はこの手の情報は注意して読まなければいけないと感じます。もう、アルカイダとの戦いはかなりの期間になるのに、未だにこのレベルだと分かって、少々ショックです。