ようやくglobalsecurity.orgに、29日に撮影されたテポドン2号の写真が掲載されました。ついに、テポドン2号の写真が確認されたことになります。写真の解像度は低いものの、チャールズ・ビック氏が予測していた姿にかなり近いことが分かります。
ただ、写真の説明に誤りがあります。下段左側の写真に「Payload(積載物)」「2nd Stage(2段機体)」という説明がありますが、「Payload」はもう少し上の本当に先端部分だけで、「2nd Stage」の矢印が指しているのは、1段機体の上端にある接合部分付近です。2段機体はもう少し上の機体の太さが一定の部分にあたります。なお、3段機体は「Payload」の直下にあり、本当に小さいため、この写真では「多分この辺」くらいにしか判別できません。
先端を覆っていたというカバーがなくなり、先端部が見えています。記事中に、この写真によって、NBCニュースが報じた、発射台上で1段機体と2段機体の組み立てが行われているという国防総省の情報が確認されたとしています。やはり、先端部の覆いは、3段機体から上を取り付けるまで機体を保護する為に用いられたと考えられます。この写真から、まだ機体の最終調整ははじまっていないと確認できます。発射台のタワーから4本のサービスレベルが枝のように突きだしています。これがロケットを包むように水平に移動して、作業員がロケットに近づけるようにならないと、最終調整は行えません。つまり、29日の段階では、まだその段階に行っていないということです。最終調整が終わってから、燃料の注入が行われます。さらに、本番と同等のリハーサルも必要です。この調子ならなんとか4日以降に打ち上げられるのかな?、という感じがしますが、北朝鮮のレベルでは難しいという印象もあります。しかし、その日程でやると北朝鮮が言うのだから、やるのでしょうね、やはり。
聯合ニュースは「丸い形の上段部分に搭載された物体が人工衛星なのか弾頭なのか、識別は不可能」と書いています。確かに、この写真では先端部の明確な形は確認できませんが、先端が尖っているようには見えないので、弾頭に用いられる「ノーズコーン」ではなさそうです。今回のロケットが弾道ミサイルである可能性はゼロと、私は考えていますので、先端部には人工衛星が収まっていると確信しています。
まず、テポドン2号がいつ打ち上げられるかですが、情報源によってかなり異なっています。当初、韓国筋の情報として4〜5日という予測が出されましたが、昨日、4日〜5日は天候の関係で難しそうとの観測が出ました。聯合ニュースは、来月4日午後から雪か雨の可能性が高く、5日は曇り、6〜10日は晴との予測が出ているということです。そうすると、6〜8日までに打ち上げられる可能性が高いことになります。ただ、ロケットの打ち上げに必要な気象データは、通常の観測データでは不足です。ラジオゾンデなどで、高度上空の状況も観測する必要があるのです。晴れていても上空に強い気流があれば発射は中止されます。だから、多少の雨があっても、風の条件がよいのなら打ち上げることになります。こればかりは、すべてのデータを持っている人でないと判断のしようがありません。weather-underground.comの最新予報では、舞水端里に近いキムチクの4日の天候は快晴で、最高気温は14度、風速は西南西10 km/h(約2.8m/s)です。これなら十分に打ち上げられる条件です。日本のH-IIロケットの場合、打ち上げ時の風速は14.7m/s、雨量は8mm/hが限界です。テポドン2号も同等の制限値を持っているはずです。しかし、結論としては、現段階ではいつ打ち上げられるとは決められません。
なお、テポドン2号に関する報道への私の協力は、徐々に現実のものになりつつあります。結果がどのような形でみなさんの前に現れるかはまだ不明ですが、興味深いものになるよう、全力を尽くしています。しかし、テポドン2号ばかりに時間をとられて、他の記事の紹介がほとんど手につきません。たとえば、パキスタンで武装勢力が貨物ターミナルを襲撃したニュースは重要です。ですが、時間の関係でこうしたニュースまで取り扱っている余裕がありません。また、テポドンだけでも、まだ言いたいことが沢山あり、書ききれない状態です。今週はずっとこんな調子になりそうです。