space-war.comによると、月曜日に北朝鮮はロケットを撃ち落とそうとすれば、誰であれ報復すると警告しました。
「我々は平和目的の我が人工衛星を迎撃するいかなる行為に対しても、直ちに最も強力な軍事的な手段で反撃して報復を行います。平和目的の我が人工衛星を撃つことは、まさに戦争を意味します。報復は関係するすべての迎撃手段だけに対してではなく、迎撃する計画を企てる侵略者のアメリカと日本と傀儡の韓国の拠点に向けられます。」と、北朝鮮軍報道官は主張しました。
だんだん笑い話のようになってきました。日韓米はいずれも北朝鮮のテポドン2号打ち上げを容認せず、日本とアメリカは迎撃を主張し、韓国も前回とは違い、ロケット打ち上げに強い抵抗を示しています。しかし、日米の迎撃は技術的に非常に困難な上、国際法上も前例のないことです。産経新聞が元CIAの専門家、アーサー・ブラウン氏の見解を紹介しています。「米国は迎撃しないと思う。『人工衛星』打ち上げを迎撃すれば戦争に近いやり方だ。始動したばかりのクリントン外交にも合わない。米国はこれまで最高のコンディション下でMD実験に成功してきたが、もし実戦で失敗した場合、オバマ政権への打撃は大きすぎる」(原文のまま)。この発言にアメリカの本音が現れています。これまでの迎撃テストは「撃ち落としやすい標的ロケット」を設定して行われており、本物のロケットを、失敗が許されない状況で迎撃したものではありません。高い確率で迎撃は失敗し、それによってアメリカはMD計画の不完全さを世界に曝すことになるわけです。実験ロケットを撃墜した事例はなく、法的にも領空を侵犯しない限り迎撃する理由は正当化できません。
北朝鮮はこのような状況を見越した上で、できそうにない報復攻撃を主張しているとしか思えません。現段階で、ロケット問題で全面戦争を仕掛ければ、体制が崩壊するのは目に見えています。最近、周辺空域を飛ぶ民間航空機に対する恫喝までして、援助を引き出そうという北朝鮮にとって、全面戦争は避けなければならない選択肢です。つまり、アメリカも日本も実際には迎撃を行わず、よって北朝鮮の報復攻撃もないということになります。
globalsecurity.orgに掲載された2月25日の衛星写真によると、打ち上げの準備は進んでいるようです。最終組立工場付近で車両の動きがないことから、最終チェックが終了したことが窺えますし、発射台の上部にあるクレーンが発射台とは反対側に曲げられています。これはテポドン2号を発射台に据え付ける前段階の操作のように思われます。このクレーンで発射台横に運んだ機体を吊り上げ、垂直に発射台に据え付けるので、事前に動作を確認する必要があるわけです。ちょっと変に感じるのは、エンジンテスト施設でも動きがあることです。これは打ち上げには関係のない動きと思われます。(なお、3日に、発射台にテポドン2号の組み付けがはじまったと書きましたが、記事を誤読していました。未だテポドン2号は発射台上にはない模様です。該当記事は削除しました)
テポドン2号の打ち上げが成功するかどうかは不明です。しかし、過去のロケット開発の歴史は、そう簡単に安定したロケットが開発できないことを示しています。アメリカは定期的に弾道ミサイルの実射テストを行い、最近、トライデントII D5ミサイルで126回目の打ち上げ成功を達成しています(記事はこちら)。この回数までテストしなくてもよいのですが、弾道ミサイルは繰り返しテストに成功して、はじめて安定した核攻撃能力があることを実証できます。北朝鮮は1回成功させるのがやっとという感じで、どこまで完成度を高められるのか疑問があります。