space-war.comによると、イラクは140両のエイブラムス戦車「M1A1SA」をアメリカから受領します。戦車は18ヶ月以上かけ、35個のグループに分けて到着します。
イラク軍は2010年12月に米軍の教官の下で戦車の訓練をはじめます。アメリカがイラク政府に戦車を売却したのか、譲渡したのかは明らかにされていません。1月1日に約260,000人のイラク兵がイラクの治安活動の統制をとりました。多くの米軍は18ヶ月以内にイラクから撤退します。12,000人の米軍が9月末までにイラクから撤退します。12,000人は2個戦闘旅団で、第4旅団、第82空挺師団、海兵大隊と支援要員と憲兵隊、支援要員を含みます。また、F-16飛行隊1個が撤退します。
デイビッド・パーキンス少将(Major General David Perkins)は、「イラク軍は整備中にあります。我々はイラク保安軍が準備を整えたとは考えていません。イラク軍は装備をそろえ、訓練される必要があります。2011年までに、彼らは自力で活動できるようになるでしょう。我々は安保合意が尊重されるという事実を確信しています。」と述べました。
M1戦車が140台というのは、地上軍にとって極めて大きな戦力です。現状で、M1戦車は世界最強と言ってよい能力を持ち、ロシア製戦車では攻め切れません。すべてが新品ではなく、修理した車両もあるのでしょうが、新品より性能が落ちるわけではありません。これをイラクが真に国防のためだけに用いるのなら、国防に大きな効果があることでしょう。それにしても、売却か譲渡かが分からないとは、かなりふざけた話です。ブッシュ政権期から引き継がれた話でしょうが、どうも背後で誰かが不当に儲けている気がします。
訓練などのために、一部の米軍部隊がイラクに駐留し続けるというのは、イラクにとっての新兵器の使い方を教えるためなのでしょう。米軍にとっても、自分たちが使っている武器でないと教えられないため、結局、自軍の兵器を持ち込むことになります。戦争で使った兵器を、そのままその地域の防衛に使うのは、第2次大戦後に日本で行われた手法です。朝鮮戦争後の韓国でも同じことがありました。湾岸戦争でもサウジアラビアに対して同じ手を使おうとしましたが、サウジはあとで丁寧に断ってきました。端から見れば、これはアメリカが戦争にかこつけて武器ビジネスを進めているようにしか見えません。