国防長官が新司令官に戦略評価を指示

2009.6.10



 spacewar.comによれば、新しくアフガニスタンの駐留米軍・NATO軍の司令官に就任する予定のスタンリー・マクリスタル中将(Lt. Gen. Stanley McChrystal)は、ロバート・ゲーツ国防長官から、60日間でアフガニスタンの戦略について報告するよう指示を受けました。

 マクリスタル中将は上院の承認を経て司令官に任命されますが、事実上、司令官に決まったと広く認知されています。ゲーツ国防長官はマクリスタル中将に副官のデビッド・ロドリゲス中将(Lieutenant General David Rodriguez)と共に「何が起きているかを地上の視点で見て、状況として信じられることを報告せよと命じられました。ゲーツ長官は「新鮮な考え」が欲しいといって、現職のデビッド・マッキアナン大将(General David McKiernan)をマクリスタル中将に交替させました。ゲーツ長官はマクリスタル中将に、兵数の査定を含めた戦略の変更を検討させたい意向だと、国防総省の報道官は述べています。国防総省によると、現在アフガンには56,000人の米軍と、33,000人の諸国連合軍がいます。オバマ大統領は21,000人の増派を認め、数千人規模の海兵隊が主に南部に展開されました。マッキアナン大将は2010年に別途10,000人を増派するよう求めていますが、マクリスタル中将はこの要請を更新するかを明らかにしていません。

 これはアフガン戦役で大きな変更がなされる可能性を示唆する出来事です。おそらく、マッキアナン大将が解任される理由は、戦略に関してゲーツ長官と意見が食い違ったことなのでしょう。つまり、ゲーツ長官は、これ以上の増派を止めたがっているかも知れないと読めるわけです。それが情勢に改善が見込めないからなのか、治安が回復してもう必要がないという意味なのかは不明です。アフガンに関しては断片的な報道が多く、全体像は必ずしも明確ではありません。それを推察するのにマクリスタル中将は大きな役割を果たしてくれそうです。この報告書が曖昧な内容でないことを願います。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.