アフガンのテロ事件が59%増加

2009.6.15



 spacewar.comによれば、今年1月から5月までのアフガニスタンのテロ事件は昨年の同時期と比べて59%増加しました。6月第1週の数字はまだ公表されていません。

 オバマ大統領は21,000人の増員を決めており、今年秋までにアフガン駐留米軍は68,000人に増加します。さらに、米軍とNATO軍の配下に3,000人の同盟軍がいます。アフガン軍は2012年までに232,000人に増員される予定ですが、ペトラエス司令官は不十分かも知れないと述べています。現状は160,000人ですが、アフガンのランギン・ダドファ・スパンタ外務大臣(Foreign Minister Rangin Dadfar Spanta)は、軍と警察を400,000人に増員することを望んでいます。

 記事にはペトラエス司令官が、スワト峡谷からタリバンを追い出したパキスタン軍を称賛する談話も掲載されています。アメリカがパキスタンに、MI-17輸送ヘリコプターの提供を含む物資と資金の提供を打診していることも記されています。しかし、これらの話をそのまま受け取ることはできません。スワト峡谷の戦いは未だに決着を見ていません。あるのは不安だけです。制圧成功の報の後にも爆弾テロが起きています。山中に逃げ込んだタリバンを完全に駆逐するのは非常に難しいことです。アフガンの情勢が悪くなってから、パキスタンにタリバンが進出してから、戦況の報道は歯切れが悪くなり、情勢がはっきりと見えなくなりました。イラク侵攻後は戦況はもっと大々的に報じられました。当時と今の報道を比べると、現在の報道はピンと来ない曖昧な記事になっています。アフガンでこれだけテロ事件が増えているのに、報道記事を見ても、そうは感じられないのが、その証拠です。報道されるのは市民を巻き込んだ爆弾事件が多く、軍隊に対する待ち伏せ攻撃はあまり報じられません。たとえ報じられても回数が少ないため、それほど増えていないように思えます。このように情報が制限されるのは、大抵が報道を制限する側が負けている時です。また、アフガンでアルカイダを食い止めるとしたオバマ政権としては、現段階で情勢が悪化していることを認めるのは難しいことです。こうした複数の要因により、アフガンとパキスタンの現状は覆い隠されている可能性があると、私は考えています。


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