新着指揮官が民間人の犠牲を減らすと宣言

2009.6.5



 military.comによれば、新しくアフガニスタンとパキスタンの戦役に着任する米軍司令官が、これからの米軍の方針について語りました。

 第101空挺師団のジェフリー・スクロエザー少将(Maj. Gen. Jeffrey Schloesser)から東アフガニスタン14州を担当することになる第82空挺師団のカーティス・スカパロッティ少将(Maj. Gen. Curtis Scaparrotti)は、近接航空支援による民間人の犠牲が出ないように注意を払うと述べました。5月4日のファラ州(Farah province)で、民間人多数が死亡した誤爆は、おそらく米軍のミスだったと、匿名の国防当局者が述べました。アフガニスタン政府は140人の民間人が死亡したと主張していますが、米軍はジェット機が撮影した映像と地上指揮官の報告は、民間人の死者は30人以下、タリバン兵60〜65人が死亡したと主張しています。また、元中将で新着の大使カール・アイケンベリー(Karl Eikenberry)は、「すべての民間人の犠牲を避けるのは難しいと分かるだろう」と述べています。military.comの別の記事では、スタンリー・マクリスタル中将(Lt. Gen. Stanley McChrystal)が米議会で新しいアフガン米軍の司令官に指名され、ブッシュ政権で公認されていた拷問には「満足していなかった」と述べ、テロ容疑者を拷問しないことを誓いました。また、中将は民間人の犠牲を減らすことも約束しました。

 5月4日の誤爆について、米軍はようやくミスを認める気になったようですが、相変わらず死者の数はアフガン政府よりも低い数字をあげています。この件については、アイケンベリー大使の発言が最も現実的です。航空支援は強力な戦力ですが、それだけに民間人が巻き込まれることが多く、その悲哀は甚大なのです。地上部隊から敵の位置が報告され、砲兵隊が砲撃したり、航空機から爆弾が投下される際、様々な理由で間違った場所に投下されたり、そもそも敵の位置が誤って報告されることがあります。照準は正しくても、砲弾の弾道が不正で、誤った場所に着弾することもあります。特に、ゲリラ戦のように、戦場が明確に仕切られない戦場では、民間人が現場にいることもあり、犠牲は避けられないものなのです。この問題は戦いが終わるまでなくならないでしょう。

 時間がないので紹介するだけにしますが、spacewar.comによれば、前ロシア空軍のアナトリー・コルヌコフ大将(General Anatolyi Kornukov)が、ロシア軍のS-300防空システムでは、北朝鮮の弾道ミサイルを防げないと述べました。S-400ならば迎撃できますが、このシステムはモスクワ以外ではテストされていないとのことです。


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