東倉里の発射施設についてチャールズ・ビック氏に質問をしたところ、機体を直立させるのにクレーンは使わないとの回答を得ました。
機体をペイロードも含めて水平の状態で組み上げ、弾道ミサイルなどで使われるような運搬・直立発射機(Transporter Erector Launcher)で垂直に発射台に設置する方法が使われるということです。これなら、東倉里の施設は十分に機能することになります。
運搬・直立発射機を用いるのはロシア式のやり方ですが、北朝鮮の発射施設はアメリカなどの設備に似ています。だから、同じやり方を使うというわけではなさそうです。下の映像を見ると、運搬・直立発射機がどんなものかが分かります。東倉洞の場合、水平組立工場は打ち上げ上から離れた場所にあります。そこから全長の長い運搬・直立発射機に乗せたまま、発射場までロケットを運べるのかどうかが気になります。それができない場合、発射場で組み立てることになりますから、道路の仕様を確認する必要がありそうです。
ところで、昨日になって韓国の聯合ニュースが、東倉里にはレーダー施設が設置されておらず、最終段階の工事がなお続けられていると報じました。北朝鮮が意図的に脅威を演出しているか、基地の竣工式で展示するために移動したのかも知れないという見解も示されました。
2日に報じられたロシア紙「Kommercant」の記事は観測施設があると報じていましたから、レーダー施設は当然完成していると信じていました。しかし、レーダー施設なしに打ち上げを行うことはできませんし、舞水端里のレーダー施設を流用するのも不適当ですから、展示のためという説明にはそれなりの説得力があります。運搬された機体が前回よりも大きいという報道は気になっていました。まだ打ち上げに成功していない機体を、そう簡単に変更するはずはありません。確実に打ち上げられることを確認してから問題点を修正していくのが普通で、失敗した機体を次々と形を大幅に変えるのは非合理です。しかし、展示のために、将来打ち上げる予定の機体を持ってきたのなら、それは納得のいく話です。また、前回の失敗の原因を改良するためのテスト機であるという見方もできます。
この件は単純に考えるべきではなさそうです。そして、他の問題への波及にも影響を及ぼしそうです。今、アメリカは北朝鮮をテロ支援国家として再指定しようとしています。もし、打ち上げが計画されていないなら、再指定の材料が1つ消えることになります。