北朝鮮が米人記者に恩赦を検討?

2009.7.13



 military.comによれば、北朝鮮は中国国境付近で拘束し、12年の強制労働の判決を下したアメリカ人記者の解放に「強い意欲」を示しています。

 前副大統領のアル・ゴア氏が率いる独立系メディア・カレントテレビ(Current TV)の記者ローラ・リング(Laura Ling)とユナ・リー(Euna Lee)は北朝鮮の難民にインタビューするために、今年3月に中国と北朝鮮の国境にいるところを北朝鮮に逮捕されました。ジョージタウン大学の政治科学者ハン・S・パーク(Han S. Park)は、信頼できる北朝鮮高官が、2人が労働刑務所ではなく、平壌の招待所に留め置かれていると述べたと主張します。パーク氏は、北朝鮮が判決を実行しなかった事実は2人の釈放を本気で考えていることを示していると主張しました。パークは北朝鮮高官が、米政府が記者の行為について「後悔の認識」を示すきだと述べたといいます。彼はこれが問題を解決するのを助けるかも知れませんが、完全の2人が釈放されると保証することはできないと述べました。ヒラリー・クリントン国務長官は金曜日に、記者に対して「この事件に対する大きな後悔」を示し、北朝鮮に2人を釈放するよう再び恩赦を求めました。米政府は先に、人道主義の立場から釈放されるべきだと主張しており、それを恩赦に向けてシフトさせました。パーク氏は学術目的で北朝鮮を何度も訪れていますが、高官との対談では彼は米政府の代表を務めたわけではありませんでした。北朝鮮高官は、2人がいる招待所は豪華で、家族が送った医薬品が2人に届けられ、アメリカへの電話を認めるなど、人道的な配慮が払われていると述べたといいます。

 「招待所」は北朝鮮の高官が宿泊するためや、スパイを訓練するために使う、特別な施設です。日本人の拉致被害者も一時的に招待所にいたことがあります。

 公式な発言ではないものの、北朝鮮から恩赦の可能性が示され、クリントン国務長官が近い時期に発した声明は偶然の産物ではないと考えるべきです。両国の間で恩赦に向けた調整が進められているのは間違いありません。北朝鮮の高官が上層部の意向と違うことを外国人に伝えることはありませんし、パーク氏のような立場の人物は、しばしばメッセンジャーとして使われるものです。釈放が実現するかどうかは、北朝鮮が高望みの要求をアメリカに突きつけないことです。「後悔」を表明するだけが要求なら、アメリカは喜んで受け入れるでしょうが、それ以上の経済的な要求は認めないでしょう。北朝鮮も2人の釈放で、そまで要求できないことは理解できるはずです。これならば、記者2人の釈放は実現するでしょう。それにしても、北朝鮮はよほどアメリカを恐れているのだと感じさせられる話です。



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