米がアフガン農民に資金提供を検討

2009.7.23



 アフガニスタン戦に関する興味深い記事がいくつか出ています(オーストラリア軍のアフガン戦の見通し。アメリカが大麻の栽培防止でアフガン農民に資金提供を検討。パキスタンとアメリカの対立)。

 spacewar.comによれば、オーストラリアのアンガス・ヒューストン空軍大将(Air Chief Marshal Angus Houston)が、同軍が3年から4年でアフガン軍に譲渡できるのを望んでいるが、早期の撤退は内戦を引き起こすだろうと述べました。オーストラリア軍は約15,500人の大半をウズルガン州(Uruzgan province)に配置しています。

 昨日、アメリカが同じ時期にアフガンから撤退することを考えているのかも知れないと、私は述べましたが、オーストラリア軍からも類似する意見ができました。もっとも、3〜4年という数字は「漠然とした近い未来」を示すこともあり、予想の通りに話が進むかは分かりませんが、アフガン戦の将来を考えるための重要な数字が出てきたと考えて差し支えないでしょう。

 spacewar.comによれば、オバマ政権はアフガンの農民がタリバンとの契約の下に大麻を栽培するのを防ぐために、農民に資金を提供することを検討しています。しかし、懐疑論者は農民が金を取って大麻も栽培するため、この方法は機能しないと主張しています。一部の植え付けは秋に始まるので、検討の時間は長くありません。タリバンは農民に事前に市場と金を提供しています。ブッシュ政権期に試みられた大麻を破壊する方法は、農民をタリバン軍に追いやるだけだったとして、オバマ政権はほとんど放棄しています。

 以前に、大麻を刈り取るのは効果があると書きましたが、どうやら間違っていたようです。タリバンは農民に、今後は金を支払えないと言ったのでしょう。すると、農民は収入を得るためにタリバンで兵士として働くようになったのです。こうなると打つ手がありませんね。しかし、農民に金を与えても、約束を守るかどうか分からないし、タリバンに脅かされれば終わりです。では、大麻の刈り取りに応じた農民にだけ資金を提供したら…と思うのですが、金を受け取った農民が隠し畑で大麻を栽培してタリバンに提供する可能性がありそうです。元より完全な方法はないのだから、やってみて結果を見るしかなさそうです。

 military.comによれば、パキスタンの高官がアフガンの南方で米軍が戦闘することは、タリバンをパキスタン領内、、特にバルチスタン州(Baluchistan)に招き入れると批判しました。パキスタンはインド方面の軍隊を引き上げずにバルチスタンに兵を配置する余裕がないと高官はいいます。また、パキスタンはタリバンとこれ以上戦うよりは対話することに関心を持っているとも言いました。

 パキスタンは不思議な国で、国がタリバンに食い荒らされそうになっているのに、彼らと戦うよりも先にアメリカを非難しようとします。タリバンとの対話が失敗するのは、スワトの和平で経験済みと思うのですが、まだ有効な方法があるかは疑問です。そういえば、前パキスタン大統領のペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)も、タリバンとの対話を主張する記事が先日報じられていました(記事はこちら)。パキスタン戦も不利な方向に進展しているのではないかという懸念が高まります。


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