タリバンがマクリスタル大将の新方針の裏をかいて、まんまと逃走した事例を、military.comが紹介しています。
月曜日、無人偵察機プレデターが、パキスタン国境の北60マイルにあるカーンネシン村(Khan Neshin)にある泥レンガの屋敷に1ダースの戦士と少なくとも15〜20人の民間人がいるのを捉えました。米軍は攻撃せず、女性や子供を解放するよう戦士を説得するために、軍の通訳と村の長老を使いました。女性と子供と思われた2つのグループが屋敷を去りました。海兵隊が突入すると、屋敷は空でした。戦士はブルカを被って女性に化け、現場から逃げたのです。海兵隊には、男性が偽装して女性に混じっていないかを確認するための、女性の海兵隊員がいませんでした。
当然のように、記事にリンクされている掲示板では、マクリスタル大将の新方針に対する非難でいっぱいです。変な交戦規定を決めるから敵に逃げられるのだというわけです。今回の失敗はやり方がまずかっただけで、交戦規定を杓子定規に守り、現場の状況に応じて融通を利かせなかったところに問題があったのだといえます。海兵隊も失敗に学び、次からはブルカを被った男がいないかを確認するようになるでしょう。現場に女性兵士がいればベストですが、いない場合でも相手に声を出してもらう方法があります。長老に頼んで、女性に自分の名前を発声してもらうだけで、かなり確実に性別を確認できるでしょう。方法があるのに、必要以上に悲観的になる必要はありません。
この程度のことで一々怒っていられないのがゲリラ戦です。military.comの別の記事に、イラク警察の警察が米軍兵士には分からないIEDが仕掛けられた場所を知っていた事例が載っています。5月16日にナジャフで伍長が戦死した事件で、伍長が載った車両がIEDで爆破される直前、イラク警察の警察官が建物の陰に隠れて、爆弾が爆発するのを待っていたことが報告されました。米軍はイラク当局に調査を依頼しましたが、未だに解明されていません。イラク警察と武装勢力がグルになっているとしても、驚くには値しません。これはベトナム戦争でも見られた光景です。私が見たことがあるフィルムでは、米軍の工兵が地雷探知機で地雷を探している横を、自転車に乗ったベトナム人がスイスイと走行していました。住民はどこに北ベトナム軍が地雷を埋めたかを知っていたのです。こんな環境では、なおさら住民を味方につけた方が利口というものです。現地の複雑な状況を理解し、有利な状況を作り出そうとしない限り、米軍によい結果は得られないでしょう。