マクリスタル大将はアフガン増派を勧告

2009.8.1



 military.comによると、スタンリー・マクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)は、間もなく提出する報告書で、アフガニスタンの米軍とNATO軍の作戦に大きな変更を勧告する可能性が高く、この変更は米軍の増派を含んでいるとみられます。

 来月までに準備するマクリスタル大将の報告書は、来年に海兵隊を含む米軍をアフガンに派遣することを提案しています。派遣する兵数は流動的で、まったく派遣しないという選択肢もあります。「戦略的国際研究センター(the Center for Strategic and International Studies)」
のアンソニー・コーデスマンン(Anthony Cordesman)と「外交問題評議会(the Council on Foreign Relations)」のステファン・ビドル(Stephen Biddle)は、若干の兵数の増加を予測し、ビドルは米軍とNATO軍とアフガン軍を合わせて300,000〜600,000人にすべきだと述べました。現在、米軍が62,000人(年末までに68,000人に増員)、同盟関係の軍が39,000人、アフガンの軍と警察175,000人がアフガンにおり、今後2年間で一部の連合軍が撤退を予定しています。戦略の変更については、あまり詳しく書かれていませんが、アフガン軍の規模と技能の欠如を特定することと米軍の教官やその他の援助の追加であるようです。また、米軍とNATO軍はアフガン市民の警護と武装勢力を飢えさせることに、より任務を絞ります。記事の原文はかなり長いのですが、他は省略します。

 年末までに友軍すべてで282,000人になりますが、その後、一部の国の軍が撤退するので、この数はさらに減ります。これを最大で600,000人にするのだとすれば、相当にアフガン軍・警察を増員する必要があります。かなりの大仕事が待っていることになります。そして、これがアフガンからの出口戦略の始まりである点に注意が必要です。アフガンもイラクと同じように、現地の軍と警察に治安維持を任せます。アルカイダとの戦いは無人攻撃機による攻撃をより増やすわけです。実質的には敗北に近いのですが、そうではないように見せられるという利点があります。オバマ大統領は、イラクからアフガンに対テロ戦の主軸を移すと宣言して大統領選挙に出ましたが、その公約は失敗に終わったと言うこともできるので、政権運営は少し難しくなるかも知れません。しかし、状況が悪い中で、大統領を批判する材料にする人が出るか、批判に賛同する人がいるかは疑問もあります。それでも、私はこれが妥当な線だと思います。これが先進的な軍隊によるゲリラ戦の限界なのです。これは自衛隊がやっても同じことです。こうした軍隊の限界点を、我々は決して忘れてはいけないのです。軍を用いる時、その能力の限界を超えて使ってはならないのです。


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