メスード死亡でタリバンが混乱?

2009.8.11



 military.comによれば、パキスタンはアルカイダが、その最高のテロリストをパキスタンのタリバンの長として就任させることを懸念しています。

 パキスタンのタリバン指導者バティトゥーラ・メスード(Baitullah Mehsud)は、先日、無人攻撃機の攻撃によって死亡したとされています。その後任が誰かについて、パキスタンの内務大臣レマン・マリク(Interior Minister Rehman Malik)が懸念を表明しています。一方で、メスードの側近たちが内部抗争をしているという報告もあります。メスードの副官ハキムラ(Hakimullah)とワリウラ・レマン(Waliur Rehman)がこの抗争で両方とも死亡したか負傷したとされました。しかし、military.comの記事によれば、ハキムラはAP通信と電話で話をして、自分は生きており、メスードも生きていると述べました。メスードの副官ハキムラ(Hakimullah)は彼は生きていると主張していますが、AP通信がメスードに電話インタビューを申し込みましたが、ハキムラは拒絶しました。また、南ワジキスタン(South Waziristan)のマキーン地区(the Makeen area)のタリバン指揮官は月曜日に、ハキムラとレマンが共に無線によって演説し、プロパガンダに流されず、結束を維持せよと述べたと言います。この演説はメスードによるスピーチがあると連絡された後に行われました。

 情報が混乱しているようですが、メスードが健在の証拠を示せないのでは、死亡したとみなして差し支えないようです。しかし、ハキムラとレマンは生きているのかも知れません。タリバン組織はほとんどが闇の中で、その実態が分かりません。記事が指摘しているように、外部から送り込まれる指揮官に従う性質を持っているのかすら、はっきりとは分からないのです。マリク内務大臣の懸念は、私には杞憂に思えます。常識から言えば、副官たちがあとを引き継ぐのが普通で、外部から来た幹部に地元の戦士が従うとは考えられません。だから、この記事の主旨は理解しにくく、正直なところ、報じられた理由も分かりません。むしろ、メスードや副官たちの消息に関する部分が気になります。パキスタンのタリバン組織の状況は次第に詳細が明らかになってくるでしょうから、現在出ている情報を記憶しておき、照合していくことが大事です。


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