military.comが対テロ戦争における名誉勲章の少なさを報じました。このことは、対テロ戦争の特徴の一つとなっています。
アフガニスタンとイラクでの8年間の戦いで、約4,000人が戦死し、34,000人が負傷しました。しかし、名誉勲章を受勲した軍人は6人に過ぎません。国防総省当局者は、戦争の性質が変化し、兵士を危険に置くことなく、誘導ミサイルが敵の陣地を攻撃し、敵は損害が出る交戦を避け、IEDを配置しているためだとしています。イラクとアフガンで海兵隊員として派遣された経験を持つダンカン・ハンター下院議員(Rep. Duncan Hunter)は、この説明はすべてを語っていないと言います。彼は、名誉勲章の受勲数が少ないことについて国防長官に再評価させる法案を支持しています。この法案は下院を通過し、上院も通過すればロバート・ゲーツ長官は3月31日までに報告をしなければなりません。
記事は長いのですが、他は省略します。名誉勲章が少ないことについて、米議会で問題になっているのは、私は初めて知りました。しかし、これが問題であることは以前から気がついており、拙著「ウォー・ムービー・ガイド 映画で知る戦争と平和」でも取り上げました。映画「戦火の勇気」は名誉勲章についての物語で、この解説で名誉勲章が議会が授与する最高位の勲章であることを説明しました。執筆時点では受勲者は3人に過ぎず、いまになっても6人足らずというのは、非常に不思議なことです。この戦争が名誉の薄い戦いだからと言うのは気が利いた説明かも知れませんが、なぜこうなるのか私には分かりません。大規模な戦闘が減ったとはいえ、武勲を発揮する場面が減ったとは考えにくいものがあります。たとえば、主に装甲部隊が活躍した湾岸戦争では、兵士個人が武勲を発揮する場面はそう多くなかったので、名誉勲章を受勲した者はいません。これは自然な話です。しかし、対テロ戦争では歩兵戦闘がかなりの数で起きています。死傷者の数も多く、この中に名誉勲章を授与されるべき人が僅かしかいないとは考えにくいのです。歩兵戦術の変化のためかとも考えますが、確証はありません。この際、ゲーツ長官は報告書を出して欲しいと思うので、上院でも法案を可決して欲しいものです。