military.comによれば、米陸軍が反戦団体にスパイを送り込んだという申し立てについて、米陸軍が調査を勧めています。時間がないので、簡単に解説します。
反戦団体の「オリンピア・ポート・ミリタリゼーション・レジスタンス(the Olympia Port Militarization Resistance )」は、フォート・ルイス基地(Fort Lewis)の軍安全部(Force Protection Division)に所属する犯罪情報アナリストのジョン・J・トゥエリー(John J. Towery)が、2年間にわたり、「ジョン・ジェイコブ(John Jacob)」という偽名で同団体の会議に出席し、抗議活動を行い、電子メールのリストを管理したと主張します。トゥエリーとジェイコブが同一人物であることは、情報公開請求によりオリンピア市が開示した書類により明らかになりました。この団体は、2006年にストライカー装甲車やその他の補給品がイラクへ送られるのを阻止しようとしたことがありました。2007年11月、この団体の会員約200名が逮捕されましたが、起訴されたのは35名だけでした。アメリカでは、民警団法(the Posse Comitatus Act)により、国内の治安維持に陸軍、空軍、州兵を動員することを禁じています。しかし、大統領は必要な場合には反乱法(the Insurrection Act)により、連邦軍と州軍を法執行のために活用できます。
記事にはその他の情報も書かれているので、是非お読みください。以前に、米軍が特別な法律なしに米国内で法執行活動を行うことは禁じられている件を解説しました(記事はこちら)。沿岸警備隊はこの制限を逃れていますが、トゥエリーが沿岸警備隊の命令を受けたのかは不明です。この事件はアメリカにおける憲法問題なのです。ブッシュ政権期には、こうした思想調査が色々と行われました。そして、過去の実例を見る限り、この種の調査はこっけいな代物になりがちです。かつての「赤狩り」も根拠のない容疑で人々を共産主義者と決めつけようとした大規模な事例でした。時間がないのでここまでとします。