海賊対策でソマリアが海軍を創設

2009.9.10



 military.comによると、ソマリアが海賊に対抗するために海軍を創設し、最初の新兵500人が卒業しました。

 彼らは最初の20年間において、海軍のバックボーンを形成するでしょう。また、それを可能にするために国際的な資金提供が必要です。彼らの月俸は175ドル。戦車、機関銃、PRGで武装します。小艇は1ダース分で、これは海賊が1回の攻撃で使用するよりも少数です。司令官はファラー・アハメド海軍大将(Admiral Farah Ahmed)で、最終的に5,000人の隊員を持ちたいと述べています。基地はボサソ(Bosasso)、ベルベラ(Berbera)、キスマユ(Kismayo)、モガディシュ(Mogadishu)に置かれます。ボサソは比較的穏やかな北部のソマリランドの中にあります。ベルベラは海賊たちのメッカです。キスマユは政権打倒を叫ぶ武装勢力の手中にあり、モガディシュは連日戦いの中にあります。民間軍事会社はこの新しい海軍を訓練することに関心を示していますが、ヨーロッパの海軍は新兵たちが訓練された新しい海賊になることを恐れています。

 歴史上、海軍の軍人が海賊になった事例は多く、ソマリアのような環境では、その可能性が非常に高いといえます。175ドルという月俸が海賊たちの収入よりも低いことは間違いないでしょう。これで勤務環境が過酷だと、脱走兵が出るのは必至です。まして、民間軍事会社に訓練を任せたら、国際法に対する理解度が低い海軍ができるかも知れません。問題を防ぐには、各国の海軍が共同で資金や訓練の面倒をみることが必要ですが、そういう環境にはなさそうです。各国は自国の対面のために海賊対策をやっているという印象が強く、広範な戦略があるようには見えません。未だにヨーロッパのアフリカに対する態度は植民地時代のイメージを継承しています。日本が資金や訓練を手助けするのも一つの手ですが、民主党にその考えがあるかどうかは不明です。ソマリア海軍がどうなるのか、非常に心配です。


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