子供がいても結婚を認めない?!

2010.1.17

 明朝は更新できないかも知れないので、今日やっておくことにします。military.comによると、戦死した海兵隊員の日本人妻が永住権を得ることなく、日本に帰国しました。

 2008年、イラクに派遣されていた22歳の海兵隊員マイケル・フレスキ三等軍曹(Sgt. Michael Ferschke)は、日本にいるホタル・ナカムラと電話を通じて結婚を行いました。1ヶ月後、マイケルは戦死しました。1950年代の出入国管理法は、女性が妊娠していたとしても、この結婚は完了していないと定めています。ホタル・フレスキの永住ビザ申請は却下され、彼女と1歳の息子マイキー(Mikey)は、テネシーのマリーヴィルにあるマイケルの実家に滞在していましたが、仕事のために沖縄に戻らなければならず、1月4日に発ちました。一家は議会が彼女の永住権を認める法案を通過させることを望んでいましたが、休日のために審議は進展しませんでした。ホタルとマイケルは代理結婚(proxy marriage)を行いました。これは、花嫁と花婿が結婚式のために同じ場所にいることができないケースで行うもので、軍隊で長い歴史を持っています。1940年代に通過した移民法は、米軍兵士の花嫁が移住するのを容易にし、1952年の代理結婚の成立条件は結婚詐欺を防止するように定められました。米軍は戦争で一緒にいられないカップルの代理結婚を認め、海兵隊はフレスキと彼の赤ん坊に遺族給付金を支払っています。しかし、移民を統括する国土安全保障省は移民のための結婚を認めないでしょう。

 これは日本のメディアが滅多に取り上げない種類のニュースです。アメリカで大きく報じられるのは、過去、海外派遣中の軍人が現地の女性と結婚することが何度もあったからです。特に、最もこの制度を利用したのが日本人女性で、太平洋戦争後に大勢が代理結婚を利用しました。拙著「ウォームービー・ガイド」でも、この問題をテーマにした「サヨナラ」という劇映画を簡単に紹介しましたが、日本人と米兵の結婚がアメリカで問題になったことがあるのです。当時、日本人女性は「かつての敵国の女」であり、米軍人の捕虜を虐待した残虐な日本人と同じだという意見です。しかし、国のために命を賭けて戦った「兵士が結婚したい」と言うのなら認めるべきだという意見も、当然のように出てきます。そこで、結婚の事実があれば、日本人女性が米軍人と共に帰国し、永住権をとることが認められました。こういう場合、海外派遣でカップルが同じ場所にいられない場合、別々の場所から結婚の手続きをとるのが代理結婚です。

 代理結婚は、アメリカのごく一部の州を除いては違法とされています。軍人だけ認める州もあります。結婚後、一緒に生活していないカップルに婚姻を認めると、結婚詐欺などに利用される危険が出てくるので、「現実に一緒に暮らしているか」が結婚の条件になることが多いようです。色々と難しい問題があるので、アメリカには代理結婚に関する面倒な法律上の手続きをサポートする法律事務所があります。

 過去の流れを見る限り、マイケルの結婚を認めるべきだという動きが出てくる可能性は十分にあります。このケースが結婚詐欺ではないことは明らかで、両親も結婚を認め、子供もいるのです。あとは政治的な動きが問題を解決することになります。本人や家族、友人ができる限り政治家に問題をアピールすることが大事です。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.