アフガンで硝酸アンモニウムを全面禁止

2010.1.23

 military.comによると、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)は、爆弾の原料になる硝酸アンモニウムの使用、生産、保管、購入、販売を禁止する命令を出しました。

 この決定は、武装勢力が一連の爆破に化学物質を使ったことが調査で判明した後で出されました。物資を提出できない者は裁判にかけられます。硝酸アンモニウムは農薬としても使われているので、NATO主導の軍は、代替品として尿素硝酸塩を含む肥料を使うように農民に要請しています。Globalsecurity.orgによると、硝酸アンモニウムの肥料は、アフガンの爆弾の約95%に使われています。アフガン政府は昨年9月に米軍と連合軍に硝酸アンモニウムを没収する許可を与え、軍は補償と引き替えに大量の肥料を押収しました。NATOとアフガン軍は、今月初めにカンダハル州の南部に肥料10トンが運び込まれているのを発見しました。

 この記事から、アフガンで農薬を使った爆弾がかなり使われていることが分かるのですが、その割には関連する報道記事が少ないと感じます。硝酸アンモニウムは肥料の他、殺虫剤や印刷に用いられる、広範に必要とされている物資です。園芸に詳しい人なら、むしろ「硫安」という名前で知っているでしょう。硫安の代替品は尿素硝酸塩が一番といわれるので、この措置は妥当なのでしょうが、尿素がアンモニアに変化するので、アンモニア排出量が増え、環境悪化の原因となるかも知れません。かなり一般的な物資に制限を加えることは、民生に影響が大きい影響があるはずです。

 その他のニュースを簡単に紹介します。

 military.comによると、トリジコン社のライフル用スコープに新訳聖書の銘が入っていた問題で、米軍が所有する同社のスコープからも、銘が削除されることになりました。これから納入されるスコープに銘は付かず、既に納入済みのスコープから銘を削除するために、トリジコン社が無料で改修用キット100個を国防総省に提供することになったのです。これで、この馬鹿げた問題は解決です。

 military.comによると、ドイツは増派する予定の兵数4,500人に1,500人を加え、6,000人をアフガンに派遣する可能性が出てきました。ドイツ政府の広報官はこの兵数は事実に基づいていないと述べています。6,000人という兵数は匿名の国防当局者が述べた数字で、カール=テオドール・ツー・グッテンベルク国防大臣(Defence Minister Karl-Theodor zu Guttenberg)は追加の兵士は500人だと主張しています。まだ、政府内で討議されている段階のようなので、何とも言えませんが、アメリカから強い要請が出されているのだと想像できます。


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