ロンドンでアフガン対策会議がはじまる

2010.1.27

 ロンドンで開催されるアフガニスタンに関する国際会議に関する記事をmilitary.comが報じています。スタンリー・マクリスタル大将(Gen. Stanley McChrystal)はタリバンとの和平交渉を示唆し(記事1)、ハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)は和平に応じたタリバンを国連のブラックリストから削除することを求めています(記事2)。

 マクリスタル大将は、南部のタリバンの中核地域からカブールまで、マクリスタル大将は30,000人の増派をもちいて、タリバンの指導者が政治的解決を受け入れるほど、武装勢力を弱体化させようとしています。アフガンには増派によって、すでに70,000人の米軍兵士がおり、113,000人の国際部隊は、ほとんど毎日兵士を失っています。ファイナンシャル・タイムズとのインタビューで、マクリスタル大将は、以下のような言葉を発しました。「兵士として、私の個人的な感覚は、十分な戦いがあったということです。私はすべての紛争の政治的解決は避けられない結果だと思います。そして、それは正常な結果です」「私は彼ら(タリバン)が過去ではなく、未来に目を向けるならば、どのアフガン人も役割を演じられると考えます」「私は全員が関与の再開を手にしてロンドン(会議)から帰って欲しい。その関与はアフガン国民のための正しい結果のためです」。

 カルザイ大統領は、月曜日にトルコとパキスタンの指導者との会議で、アルカイダと手を切り、武器を置こうとするタリバンを、国連のブラックリストから抹消する方法を考えたいと述べました。このリストを管理しているオーストラリアの国連ミッションによると、リストは142団体のアフガンの過激派グループにリンクするタリバンとアルカイダの個人と団体、約500の名称を含んでいます。ホワイトハウスはカルザイの提案に曖昧な反応を示していますが、米軍指導者はアフガン指導者の再統合の提案と、アメリカが一部のイラク人グループに用いたものとを比較しました。カルザイは厳しい内乱を終わらせるために、下位と中間層の戦士をシャカイの主流へ持っていきたいのですが、イスラム武装勢力の指導者は交渉に敵対的です。リチャード・ホルブルック米特使特(U.S. envoy Richard Holbrooke)は、木曜日にロンドンに集まる65ヶ国が、タリバンの武装解除のために再統合基金を準備するというカブールの提案を支持すると述べました。前述のマクリスタル大将の発言は、この提案を支持したものです。カルザイ大統領は火曜日にパキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ大統領(President Asif Ali Zardari)との会議が続くので、イスタンブールにいます。トルコが2007年以降、アフガンとパキスタンの関係修復のための会談を行うのはこれで4度目です。両国の関係は2001年後半から、タリバンらがパキスタンの北西部に隠れ家を見つけて以来、両国の関係は緊張しています。今回の会議には、両国の大統領だけでなく、イラン、中国、タジキスタン、トルクメニスタンの高官が集っています。

 もともと、柔軟なマクリスタル大将ですが、当初、オバマ大統領が考えるよりも多い増派で、武装勢力を押さえ込んで、和平に持ち込もうとしていたのに、いまは交渉案を支持しています。このように、対テロ戦は、こういう流れになら去るを得なかったのです。2003年のイラク侵攻以来、いやそれよりも前のアフガンでの米軍の戦いぶりを見て、私はアメリカは対テロ戦に勝てない可能性があると考えはじめました。イラク侵攻によって、その恐れは現実化し、希望は完全になくなりました。

 ホルブルック特使もカルザイ案に賛成しているのなら、これがロンドン会議の流れとなり、アフガンでの戦いが第2ステージに進むことになります。しかし、これからが大変でしょう。当然、このまま和平交渉に同意するタリバン一派もあれば、自分たちがアフガン国民の支持を得た方が得と考える一派もいます。もともと、アフガン政府は人気がないわけですから、これを選択する者がいても不思議ではありません。もう一つ、トルコが乗り出している調停に、日本も注目する必要があります。アフガンに隣接する国の高官を呼んでいるのは、できることがあれば隣国の支援を受けたいとするトルコの意向を示しています。トルコはアフガンに隣接していませんが、アフガンやパキスタンとそれらの隣国に対して中立的な立場を示せるので、地勢的なアドバンテージがあるのです。ドイツがこの会議の様子を見て増派を決定するつもりですが、それがどうなるかも注目です。しかし、米政府が明確な態度を示していないのが疑問ですね。提案の成果に期待できないと考えているのでしょうか?。数日中に米政府の態度も明らかになるとは思いますが、少々不安です。


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