米陸軍が基礎訓練から銃剣術を廃止?

2010.1.29

 対テロ戦の影響で、伝統的な米軍の訓練に変化が生まれることになります。military.comによると、米陸軍の初期軍事訓練の副統括将官マーク・ヘルトリング中将(Lt. Gen. Mark Hertling)は、基礎訓練から銃剣術を削除したい考えです。

 テロとの戦いが始まる2001年以前、米軍は東ヨーロッパでロシア軍のような大規模で機械化された軍と戦う訓練をしていました。近年、米陸軍は一般市民の中にいて、ピックアップやロバの荷車で移動するアフガニスタンとイラクの敵に適応するため、基礎訓練は多くの変化を被りました。兵士が学ぶことが多すぎるため、10週間の訓練に多くが加えられ、いくつかが削除されました。ヘルトリング中将は、今日の戦争では、兵士が銃剣で敵戦闘員の腹を割く方法を学ぶ理由がなく、銃剣は今日のライフルには適していないと言います。中将はまた、白兵戦の徒手格闘で、組み技とレスリングの動きを重視するのを止め、素手か、あるいはナイフや棒のように、つかめる物を何でも使って戦うことを学ぶ必要があると言います。

 これは興味深い記事です。完全廃止ではなく、銃剣術や高度な徒手格闘は特殊部隊などでは続けられるのでしょう。ライフル銃がM4小銃のように小型化すると、銃剣をつけても、あまり意味はないし、そもそも白兵戦自体が減っているのです。組み技はある程度の修練を経ないとマスターできないので、もっと簡単で効果的な方法を教えようというわけです。米軍で教えている組み技は柔道からの転用ですから、これは日本人には理解しやすいでしょう。兵士は他にも学ぶべきことが多くあり、訓練に時間がかかるものは省きたいのは、かねてより言われていたことです。しかし、伝統的な銃剣術がなくなるのは、保守的な軍隊の中では大きな出来事です。

 military.comによると、アフガニスタンのハミド・カルザイ大統領が欧米の軍隊に10年間はいて欲しいと述べました。他にもアフガン関係の記事がありますが、これらについては明日、考えてみたいと思います。


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