パキスタンとイエメンから米へ不満噴出

2010.1.6


 military.comによれば、パキスタンのユサフ・ラザ・ギラニ首相(Prime Minister Yousuf Raza Gilani)がアメリカのアフガニスタンでの活動について批判しました。

 ギラニ首相は、パキスタンの活動はアフガンの連合軍が過去9年間で成し遂げたものとは著しく違うと主張します。ギラニ首相は、成功の証拠として、最近行われたアフガン国境付近でのタリバンの掃討作戦を示しました。スワト州、マラカンド州、連邦管轄トライバルエリア(FATA)、南ワジキスタンのほとんどで行われた法執行活動は正確で記録的な時間で行われました。首相はパキスタンが西欧を支援するために十分なことをしていないという批判にも反論し、アフガンの平和と安定の回復がパキスタンにとって正当な利益だと述べました。

 military.comによれば、イエメンが米大使館が2日間の閉鎖を終えた時、それがテログループを勢いづかせるという不満を表明しました。イエメンは首都サヌア以外の地域で政府の支配が行われておらず、そこは重武装した部族が支配しており、アルカイダの戦士が隠れるのを許しています。イエメンの治安と政府当局者の多くは米大使館を閉鎖したことに個人的な怒りを表明しています。それは彼らが外国の海外公使館を守れなかったことを印象づけるからです。内務省は大使館を守る治安部隊の先進的な訓練をアピールしました。旅客機爆破未遂事件で批判されるイエメン政府は、援助を積極的に受け入れていますが、そうした援助は対テロ活動に限られなければならないと主張し、ワシントンが戦いで中心的な役割を演じたがることを懸念しています。イエメンのアブー・バクル・アル・キルビ外務大臣(Foreign Minister Abu Bakr al-Qirbi)は、アフガンやパキスタンとイエメンの状況は違うと述べ、イエメンは自力でテロ組織に対処できるけども、経済的な問題のために、訓練や対テロ部隊の準備のために支援が必要だと述べました。

 military.comによると、アメリカがパキスタンで行った空爆は2008年の36回に対して、2009年は53回と増加しました。2010年は最初の4日間で2回の空爆を実施しています。2008年以来、アルカイダのとタリバンの上級指揮官16人を殺害しましたが、彼らの勢力は衰えていません。2008年5月以来、アフガンとパキスタンの外部で活動しているアルカイダの外部の作戦ネットワークの指揮官3人を殺害しました。2008年8月以来、トライバルエリアのアルカイダとタリバンに対する圧力を高め、2004年6月から2008年7月までに行われた空爆よりも攻撃のテンポを高めています。タリバン指揮官ネク・モハマンドを殺害した2004年6月から2009年末までに99回の攻撃が行われました。

 この記事はさらに続きますが、時間がないので省略します。元記事に掲載されているグラフを見た方が話が早いかもしれません。(グラフはこちら

 いくつかの記事からポイントだけを拾い出してみました。2010年になって数日間の動きが感じ取れる話題ですが、関係諸国とアメリカとのズレ、激化する空爆作戦がポイントです。パキスタンとイエメンからは不満が出ており、アフガンなど関係国とアメリカとのズレは今後も大きな問題となるはずです。地上軍による活動が功を奏しないため、無人攻撃機を中心とした空爆が増加するのも、今後の特徴として出てくるはずです。グラフを見れば、その傾向は明らかです。時間がないのでこれまでにしますが、こうした状況で決め手がないことも忘れてはなりません。 というよりも、一番の問題です。


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