モルロック技術兵の供述調書が漏洩

2010.10.1
追加 2010.10.5 15:00

 military.comによれば、シアトル・タイムズ紙は、アフガニスタンの民間人を殺害した事件の主犯カルビン・ギブズ2等軍曹(Staff. Sgt. Calvin Gibbs)は、イラクで一家を殺害したことを自慢していたという、ジェレミー・モルロック技術兵(Spc. Jeremy Morlock)の宣誓供述を入手しました。

 要点を抽出して、紹介します。後半部分は時間がないので省略します。

 ギブズ2等軍曹がアフガンに到着したとき、彼は他の兵士に「こうしたことを数件やって逃げている」と言い始めました。モルロックは陸軍の捜査官に彼が車を運転するイラク人を殺す計画を立て、機会を狙っていたと小隊のメンバーに話しました。機会はある日、彼が分隊自動火器を持って道路を渡っている時に訪れました。ギブズは兵士たちに、彼が振り向いて、家族が乗った車に向けて弾をばらまいて、指揮官に車が停まらなかったと言って殺人を隠蔽しました。

 ワシントン・ポストは、陸軍がイラクでの殺人についても再調査する意向だと報じました。

 モルロックは、ギブズがアフガン人に対する純粋な憎悪を示し、常に彼らを野蛮人と呼んでいたと言います。

 2009年7月に始まるアフガニスタンでの二度目の戦地派遣で、ギブズは第2歩兵師団第5旅団で分隊長を努めました。アフガンに着くとすぐに、アフガン人殺害を実行する上での支援を計るために、イラクでの殺人を詳しく話し始めました。数週間後、ギブズは数人の兵士の信頼を勝ち取ったと感じると、計画を練りはじめ、アフガン人の横に置いた手榴弾で、殺人を正当化するために、犠牲者が脅威を示したように見せかけることを提示しました。

 3件の殺人事件は、タリバンを支援すると考えられている村の周りで起こり、武装勢力の攻撃というカバーストーリーを指揮官に信じやすくした、と兵士の供述を評価した筋は言います。

 2月に起きた二番目の殺人では、ギブズは武装勢力が典型的に携帯するAk-47を自分の背嚢から引き抜き、壁に向けて2発撃ちました。それから、ギブズは中年の顔全体に髭を生やしたアフガン人を撃ち、Ak-47を彼の足元に置きました。

 1月の事件のアンドリュー・ホームズ上等兵(Pfc. Andrew Holmes)を弁護するダニエル・コンウェイ(Daniel Conway)は「過去の事例から、武器を落とす兵士の習慣は存在すると言えます」と言います。

 イラクでは、ギブズはハワイに拠点を置く第21歩兵連隊第1大隊で勤務し、この大隊はイラク北部のキルクーク市に配置されていました。第1大隊に勤務しながらもギブズを知らないウォルト・カーチン退役大尉(Capt. Walt Cartin)は、難しい年であったと言います。アブ・グレイブ収容所で米兵が捕虜を虐待する写真が公開されたあと、大衆は米軍に敵意を抱きました。「強く明白な幻滅の感覚がありました」と大尉は言います。「我々の車両に近づいた子供たちがいて、我々は彼らにキャンディを与えました。しかし、写真が公開されると、親たちはそれを許さなくなりました」。武装勢力もまた強くなったと、大尉は言います。しかし、カーチン大尉は、彼の部下が行ったことを誇りに思うと言いました。彼は、大隊長が、殺害を正当化するために、死体のそばに武器を置くような、どんな違法行為も容赦しなかったと言います。「我々はそんなことはすぐに報告したものです」「それは明らかに違法です。そのようなことを何であれ奨励するのは、大隊の文化ではありません」。


 先日公表されたモルロック技術兵の供述ビデオ映像ですが、やはり米軍が公表したのではなく、軍は漏洩元を調べているようです。そして、今回の供述調書の漏洩です。裁判前にこうした証拠物件が公表されるのは、いうまでもなく問題です。この事件だけ、どうしてこんなに漏洩が続くのかが疑問ですが、多分、同じ人物が情報を漏らしたのだと想像できます。当然、証拠に触れる機会がある憲兵隊や犯罪捜査部の隊員がやったのでしょう。こうした部隊は後方支援部隊であり、最前線には出ません。つまり、そうした部隊にも厭戦気分が蔓延していることが窺えるのです。米軍の忍耐も、いよいよ限界かと思えてきます。

 記事には隠蔽事件の実例として、マイケル・ヘンズレイ2等軍曹(Staff Sgt. Michael Hensley)の事件が紹介されていますが、このサイトで過去に何度も紹介したので省略します。



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